2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔レンサ球菌のディフェンシン感受性の多様性とその機構の解析
Project/Area Number |
13771108
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
江藤 亜紀子 国立保健医療科学院, 口腔保健部, 研究員 (50291125)
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Keywords | 口腔レンサ球菌 / 抗菌ペプチド / ディフェンシン |
Research Abstract |
本研究は、抗菌ペプチドの臨床応用を目的として、口腔レンサ球菌のディフェンシンに対する感受性の解析を行った。研究期間内において、抗菌ペプチドの合成、口腔レンサ球菌に対するペプチドの抗菌活性の測定、ディフェンシンに対する抵抗性の高い口腔レンサ球菌が有する非感受性の機構の解析などを行った。 ディフェンシンなどの抗菌ペプチドはペプチド合成機を用いてF-moc法により合成し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製を行った。口腔レンサ球菌に対する抗菌効果はradial diffusion assayによって測定した。22種の口腔レンサ球菌に対する2種類のヒトのβーディフェンシン、hBD-1とhBD-2の抗菌スペクトルを比較したところ、hBD-2の方が抗菌活性が高かった。22種の口腔レンサ球菌の感受性のレベルは多様であり、S.mitisは特に高い抵抗性を示した。さらに、ヒトの口腔で発現しているαーディフェンシン、HNP-4の口腔レンサ球菌に対する効果を測定したところ、口腔レンサ球菌の感受性は多様であったが、hBD-2とは全く異なる抗菌スペクトルを示した。これらの結果は、ディフェンシンファミリーが分子種ごとに異なる機能を有していることを示唆しており、これらを詳細に解析することにより、特異性の高い阻害剤として利用できる可能性を示している。さらに、hBD-2に対するS.mitisのように、抗菌ペプチドに対する感受性が低い菌は、抗菌ペプチドによる殺菌効果に対抗する何らかの機構を有しているのではないかと考え、培養上清への分泌成分および菌体表層成分の分離、精製、酵素活性の測定などの解析を行った。これらの結果は、抗菌ペプチドの臨床応用に必須の基礎的な知見であり、さらに、S.mitisはヒトロ腔内で最も優勢な常在菌の1つであることから、口腔内フローラの形成についても知見が得られると期待される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nomura Y, Eto A, Hanada N, Senpuku H.: "Identification of the peptide motifs that interact with HLA-DR8(DRB1^*0802) in Streptococcus mutans proteins"Oral Microbiol Immunol.. 17. 209-214 (2002)