2001 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質コラーゲンの高次構造変化を最小にする接着手法の開発
Project/Area Number |
13771128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西谷 佳浩 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60325123)
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Keywords | セルフエッチングプライマー / アミノ酸誘導体 / 象牙質コラーゲン |
Research Abstract |
本年度の研究では,象牙質コラーゲンに損傷を与えない処理材を開発することを目的として開発したセルフエッチングプライマーを用いて,歯面処理による象牙質コラーゲンの高次構造変化を詳細に検討した。 ヒト抜去歯をEDTA脱灰して得られる象牙質試料に対して,試作セルフエッチングプライマーまたはリン酸で処理した。処理後は通法に従い,試料をエポン包埋して透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。その結果,1時間以上の処理時間ではリン酸処理した象牙質コラーゲンは明らかに構造変化を生じていた。しかしながら,歯科臨床で使用する処理時間である15秒ないし60秒間では構造変化を認めなかった。試作セルフエッチングプライマー処理では1時間以上処理した場合にも構造変化を認めなかった。 そこで,さらに詳細に象牙質コラーゲンの構造変化を検出するために,ヒト抜去歯を凍結粉砕後脱灰して得られたコラーゲン粉末を各種歯面処理材で処理し,SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行いコラーゲンの分子量変化を処理材の種類,濃度,処理時間などについて検討した。その結果,リン酸処理したコラーゲン粉末で,より低い分子量のバンドが検出された。すなわち,TEM観察では検出されなかった15秒ないし60秒間の処理時間においてもリン酸処理の方が,よりコラーゲンの構造変化を生じている可能性が示唆された。試作セルフエッチングプライマーは,アミノ酸誘導体モノマーを接着性モノマーとした歯面処理材であり,この接着性モノマーが象牙質コラーゲンに吸着して機能することから,リン酸に比べてコラーゲンの構造変化を少なくすることが可能となると考えられた。
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