抗齲蝕性レジン(SiO_2-Al_2O_3-Ag_2O系ガラス含有)の開発

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13771146
• Research Category: Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
• Research Institution: Asahi University
• Principal Investigator: 大橋 静江 朝日大学, 歯学部, 助手 (80288381)
• Keywords: 抗齲蝕性 / コンポジットレジン / SiO_2-Al_2O_3-Ag_2O系ガラス / ゾルーゲル法 / 銀イオン

Research Abstract

近年、銀を応用した無機系抗菌剤が注目を得ているが、その抗菌性、審美性、力学的性質および化学的性状に関して検討すべき点は数多く残されている。我々は、ゾルーゲル法によるガラス合成法の歯科領域への応用を有意と考え、ゾルーゲル法によりSiO_2-Al_2O_3-Ag_2O系ガラスを作製し、Streptococcus mutans (S.mutans)に対する抗菌性試験の結果、in vitroにおいてのその抗菌性が報告している。これは本ガラスより銀イオンが徐放されるためであると考えられており、さらに得られたガラスは白色を有することが確認されていることから審美性に対する問題は解決されている。しかしながら、本ガラスをコンポジットレジンあるいはグラスアイオノマーセメントに応用するには、その力学的性質および化学的性状に関して検討する必要がある。以上より、本ガラスのヒト天然唾液に対する抗菌性、また作製したガラスを含有するコンポジットレジンの開発のためその力学的性質および化学的性状に関して検討する事を目的とする。
ゾルーゲル法により得られたSiO_2-Al_2O_3-Ag_2O系ガラスの粉末X線回析、可視紫外吸収分光分析、銀の溶出試験およびヒト唾液に対する抗菌性試験を行ったところ、以下の結果を得た。本ガラスは、目視により白色であることが確認できた。また、高化学的耐久性および銀イオンを徐放する性質を有していた。10名の成人の刺激唾液を使用し、各々の唾液1ml中にSiO_2-Al_2O_3-Ag_2Oガラス:0.05gを浸漬して抗菌性試験を行った結果、ヒト唾液中細菌に対して抗菌性を発揮した。さらに本ガラスを含有する試作コンポジットレジンがS.mutansに対して抗菌性を発揮する事を確認した(in vitro)。