2002 Fiscal Year Annual Research Report
補綴前処理における磁力を用いた歯根挺出装置の基礎的・臨床的検討
Project/Area Number |
13771155
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 太郎 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30302160)
|
Keywords | 磁石 / 挺出 / 歯根挺出 / 磁性アタッチメント |
Research Abstract |
1,挺出に関する科学的文献考察による実験デザインの検討 挺出に関してこれまでの研究を調査すると,その方法に関してはある程度の客観性と根拠を持った研究がなされているが,必要な挺出力に関する研究はほとんどなく,述べられていたとしても経験的なものばかりで,実際に生物学的組織学的検討は行われておらず,科学的根拠のある結果が得られていないのが現状である.また、磁力を矯正力とした場合,従来のワイヤーやゴムと違って,歯牙が装置に近づくほど矯正力は大きくなるため、磁力をもちいた場合と従来の方法での組織学的相違を検討することが、磁力を用いた挺出の基礎的検討となろう.さらに、挺出時にデンタルプラークの有無によって挺出量、支持骨縁の高さに差が出てくることが示唆されており、まず、プラークの有無と挺出量の関係についての基礎実験を行う必要性があることがわかった。 本年度の期間内では、実験に使用する白金鉄系磁石合金に関する論文発表と挺出に必要な矯正力に関する基礎実験デザインの決定までであったが、現在、上記基礎実験を行っている途中であり、その報告は、来年度以降に行う予定である。 2.臨床試験 前年度に引き続きに、3名の患者の3歯牙に関して、磁力を用いた試作の歯根挺出装置にて、歯牙の挺出を行った。患者には実験の趣旨・内容、またそれに伴うリスクを十分説明し、この実験に協力する承諾を得た後、処置を行った。結果はすべての歯牙の挺出に成功し、磁力によって歯牙の挺出は可能であることが示唆された。また術者による客観的、患者による主観的評価も、臨床的には問題のないものであった。しかし、前回同様挺出が完了するまでの期間は3・4ヶ月と、従来の挺出装置と比較して長く、症例によっては歯牙形態やスペースに合わせた磁石も必要であった。また,遊離端義歯部での歯牙挺出は、義歯の動揺により困難な場合が多く、挺出を可能とする場合、まず義歯の安定を図ることが大切であることがわかった。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] T.Kanno, T.Nakayama, O.Okuno, K.Kimura: "Dental Casting Fe-Pt magnetic alloy for Removable Prosthetic Appliance"The Japanese Society of Magnetic Applications in Dentistry. 11・1. 82-91 (2002)