2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771163
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西村 正宏 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00294570)
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Keywords | チタン / インプラント / 間葉系幹細胞 / 細胞付着 / 石灰化 / シラン処理 / 骨芽細胞 / osseointegration |
Research Abstract |
インプラントに用いられる無処理チタン上での骨髄間葉系幹細胞(MSC)の骨分化時の分子生物学的挙動について、最近世界中で議論され始めたので、今年はまずシラン処理チタン上での細胞分化を検討する前にコントロールとなるチタン上でのMSCの分子生物学的な解析を行った。 純チタンとカルチャーディッシュを用いて、それぞれの上で、ラット由来のMSCを骨誘導培地にて培養した。培養14日後、コントロールの細胞はVon Kossa染色にて石灰化物が確認されており、それ以前の4,7日時点での細胞も含めて、総蛋白と総RNAを回収した。蛋白はWestern blottingを、RNAはリアルタイムPCRを行った。蛋白レベルでの結果からはチタン上で培養したMSCの方がカルチャーディッシュ上で培養したものに比べて、早期に骨特異的な蛋白が認められた。プロテオグリカン蛋白量には明らかな差は認められなかった。RNAの解析から、オステオポンチンやオステオカルシンの遺伝子発現はチタン上で培養したMSCの方が早期に高い発現を認めた。チタン上で培養したMSCのバイグリカンのRNA発現は、14日で明らかに高くなっていたが、カルチャーディッシュ上で培養したMSCのRNA発現は時期による差は認められなかった。デコリンのRNA発現はチタン上では時期と共に減少するが、プラスチック上ではむしろ僅かに増加した。このように、プロテオグリカンの発現はMSCの石灰化に伴って、これまでのカルチャーディッシュとは挙動が異なっていた。 さらに今年はシラン処理チタン上での石灰化の検討を行った。シラン処理と非処理チタン上で培養したMSCの石灰化の程度をカルシウム定量にて比較した。その結果、シラン処理を施したチタン特に、カルボキシル基をもつグリオキシル酸をシッフベース反応による固定化したシランで処理したチタン上で培養したMSCは非処理に比べて細胞層でのカルシウム沈着量が有意に高かった。昨年の細胞付着の結果ともあわせて、本シラン処理はMSCの石灰化を促進させることが示唆された。 2002年に出願した本特許の実用化には、今後、本シラン処理チタンによって動物実験でもosseointegrationを早められるかの検討が必要になろう。
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