2001 Fiscal Year Annual Research Report
骨関節隙の大きさをパラメータとした顆頭運動の診断法
Project/Area Number |
13771167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 裕 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (10325285)
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Keywords | 骨関節隙 / 顆頭運動 / 関節円板 |
Research Abstract |
本研究は,顆頭と関節窩の立体的な位置関係である骨関節隙の大きさをパラメータとした顆頭運動の解析手法を確立し,客観性のある診断方法を開発することを目的としている. 健常な成人男性8名について,顎運動測定器MM-JIを用いて側方滑走運動の測定を行った.咬頭嵌合位と切歯点運動量5mmの間の0.5mm隔11顎位について,3次元再構築した作業側顆頭の運動解析を行った.1顆頭表面あたりの解析点は最小5915点から最大7825点であり、関節窩上の解析点はすべての被験者で5100点とした.顆頭表面の点に最も近接した関節窩の点の距離を求め,これを各解析点における骨関節隙とした。また、滑走運動時と咬頭嵌合位における骨関節隙の差を変化量とした。 咬頭嵌合位における最小の骨関節隙は平均1.5mmであり,顆頭の前外上方の領域にあることが多かった.咬頭嵌合位から0.5ミリ滑走運動時,全ての被験者において骨関節隙が減少する領域が認められた.他の顎位においても同様にすべての被験者で咬頭嵌合位より骨関節隙が減少する領域が認められた.最も関節隙が狭まる領域は,内上方の領域であることが多く、変化量の平均は-0.2ミリであった.これに対し最小の骨関節隙の変化量は、滑走運動に伴う変化が少なく,平均は-0.07mmあった.最近接領域が0.5mmから5mmでの滑走運動中に変化せず一定のものが8例であった.最近接領域が一定の被験例では顆頭の前外上方の領域が近接することが多かった.最近接領域において骨関節隙はほぼ変化がなく、この領域に関節円板の狭窄部が接していると思われる.滑走運動中に最近接領域が変化するものは8例,そのうち6例は2〜3mm顎位で変化した. 骨関節隙とその変化量は,関節円板の動態を推定しうるパラメータとなる可能性が示唆された.今後はこれらのパラメータが示す値の解剖学的および機能的な裏付けを行っていく必要があると思われる.
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