Research Abstract |
生物由来物質であるキチン・キトサンの有する,蛋白吸着能,細菌の増殖抑制能といった特質を、歯科補綴領域に応用し,象牙質接着能,抗プラーク・抗齲触性等を有する,新しい対象牙質用接着材料を開発する事を目的として,本実験に着手した.今回,特に,キトサンが,水,及び歯科において頻用される酸希釈液に良く溶解することに着目し,まず,キトサン及びキトオリゴマーの,象牙質塗布用プライマーとしての適用を試みる事とした.キトオリゴマーをプライマーとして適用するには,まず,適切な溶媒を決定する事が必要である.プライマーの溶媒として頻繁に用いられるものとして,水,アルコール,アセトン等を考えている.またセルフエッチングプライマーにおいては各種機能性モノマーが用いられるが,それ自体接着能を有するものであり,キトオリゴマーの接着効果が立証されて後,双方を混在させた試作プライマーを用いた評価を行う事とし,本実験初期段階における溶媒としての適用からは除外する事とした.また,合着用セメントの液成分としても使用されるポリアクリル酸についても評価対象に加える事とした. まず,イオン交換水を溶媒としたものについて,実験に着手した.牛前歯唇側象牙質を10%クエン酸水溶液によるエッチング処理後,キトオリゴマー溶液を滴下,乾燥後,スーパーボンドC&Bを用いた引張り接着試験により初期接着強度の評価を実施した.現在,キトオリゴマーの溶解パーセンテージを変化させながら接着強度の比較検討を行い,至適濃度を探っている段階である.今後は,溶媒をポリアクリル酸に設定したものを試作プライマーとし,接着強度への影響を評価していく予定である.
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