2002 Fiscal Year Annual Research Report
インプラント材料上におけるマクロファージの遺伝子発現解析
Project/Area Number |
13771182
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
武部 純 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (50295995)
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Keywords | インプラント材料 / チタン / マクロファージ / BMP2 / oseointegration / 骨創傷治癒 / 未分化間葉系幹細胞 / 遺伝子 |
Research Abstract |
骨の創傷治癒過程の初期に出現するマクロファージ(MΦ)から産生されるBMP_2が未分化間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化過程に作用していることをBMP_2mRNAの遺伝子発現レベルから解明してきた。そこで、さらにMΦからのBMP_2の発現をタンパク質レベルで検討するために免疫組織化学的染色を行った結果、MΦの細胞全体にBMP_2の陽性反応が確認され、MΦからのBMP_2の発現を細胞レベルで証明することができた。平成13-14年度に行った細胞培養レベルでの解析結果から、MΦからのBMP_2の発現量は純チタン(cpTi)インプラント表面粗さに依存していることがわかった。さらに早期のosseointegration獲得を目指してこれまでに研究してきたcpTi表面上に特殊な表面処理を施したインプラント材料(HA/cpTi)上でのBMP_2の発現量はより高いことが明らかとなった。ラット大腿骨へ表面処理を施したcpTiを埋入後、2-3日目のMΦの細胞表面レセプターであるCD14を遺伝子レベルで解析した結果、CD14 mRNAの発現が認められた。この結果は、創傷治癒の初期に出現したMΦは骨形成/骨誘導を促進する働きのあるBMP_2を発現していることを意味しており、細胞培養レベルでのデータを裏付けする重要なものである。我々はMΦからのBMP_2の発現量は、cpTiの表面粗さに依存して高まることを解明するとともに、HA/cpTi上でのMΦからのBMP_2の発現量は表面を粗造にしたcpTiに比較してより高まることを解明した。以上の研究結果から、HA/cpTi埋入後から始まる創傷治癒過程の初期に出現する未分化間葉系幹細胞は、創傷治癒の初期に出現するMΦから産生されたBMP_2の作用により早期に骨原性細胞から骨芽細胞へと分化し、さらに骨芽細胞の分化が進展することでHA/cpTi表面に特徴的に形成されるHA皮膜の表面上に形成された骨基質の石灰化が促進し、より早期にHA/cpTi表面上で骨形成が起こることを示唆する貴重なデータを得ることができた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] J.Takebe, C.M.Champagne, S.Offenbacher, K.Ishibashi, L.F.Cooper: "Titanium surface topography alters cell shape and modulates bone morphogenetic protein 2 expression in the J774A.1 macrophage cell line"Journal of Biomedical Materials Research. 64A. 207-216 (2003)