2001 Fiscal Year Annual Research Report
冠拡張薬による心筋虚血予防が局所麻酔薬使用時に、虚血心へどのような影響を与えるか
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13771202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 幸文 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (00292037)
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Keywords | 虚血心 / エピネフリン / ニトログリセリン / 血管拡張薬 / 血管収縮薬 / 歯科用局所麻酔薬 / 虚血性心疾患 |
Research Abstract |
【研究目的】虚血性心疾患を有する患者の歯科治療に際しては、一般に心筋虚血予防のために、冠動脈拡張薬を投与して治療を行っている。しかし、これらの冠動脈拡張薬投与時に歯科用局所麻酔薬を使用した際、特にそれらに添加されている血管収縮薬が虚血性心疾患を有する患者に対し循環動態・心機能にどのように影響を与えるかについて詳細な検討はされていない。そこで本研究では実験犬の冠動脈を狭窄し、虚血性心疾患モデルを作成して、冠動脈拡張薬及び血管収縮薬を使用した際の循環動態、心機能の変化について検討を行った。 【方法】ピーグル犬をウレタンとクロラロースの持続静脈内投与で麻酔を維持し、循環動態の安定を確認した後エピネフリン(Epi)を20ng/kg/minまたは80ng/kg/min、ニトログリセリン(NTG)を2.5μg/kg/min、または5μg/kg/minで単独または併用で持続静注し、その後、左冠動脈前下行枝を狭窄して虚血心モデルを作成し、同様の投薬を行い、循環動態、心機能諸指標の変化を観察した。 【結果及び考察】1.心筋虚血前と虚血後:体血管抵抗係数が上昇した。これはvital organへの血流維持のため、全末梢血管抵抗の亢進が起こったものと考えられる。2.Epi投与時:非虚血時に比べ虚血時では、心拍数、Rate Pressure Product、冠動脈血流量が増加した。3.Epi及びNTG併用時:非虚血時に比べ虚血時では、動脈圧、心拍数が上昇した。4.現時点では虚血心に対しEpiとNTGの併用は心機能の改善という点では有用と想像されるが、心筋酸素需要バランスという点についてはもう少し検討を要する。また、虚血心に使用するEpiの量に対しNTGの至適投与量については今後検討する予定である。
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