2002 Fiscal Year Annual Research Report
NF-κBの発現制御に基づいた頭顎部癌に対する放射線・化学療法至適レジメンの開発
Project/Area Number |
13771217
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
玉谷 哲也 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (30274236)
|
Keywords | 頭頸部癌 / NF-κB / 5-FU / CDDP / RT |
Research Abstract |
頭頸部癌細胞株は正常細胞に比較し、転写因子であるNF-κBの活性が増強していること、そしてこの増強機構にはIKK活性の上昇が関与していることを明らかにした。また、当教室において樹立した頭頸部癌細胞株B88細胞のNF-κB活性をmutant IκB-αcDNAを導入することにより抑制した細胞株を樹立した。mutant IκB-αはリン酸化部位が変異しているためリン酸化を受けず、その結果、NF-κB活性を持続的に抑制することが可能である。mutant IκB-αが発現し、NF-κB活性を抑制した細胞株ではコントロール細胞に比較し、血管新生因子であるIL-1α、IL-6、IL-8、VEGFの発現の抑制と血管新生を抑制することにより、ヌードマウスでの腫瘍増殖能の低下を誘導することを明らかにした。すなわち、頭頸部癌細胞においてNF-κB活性を抑制するような抗癌剤は癌細胞の血管新生を阻害し、より効果的な治療効果を期待できると考えられる。 一方、頭頸部癌の治療の際に用いられる放射線(RT)、シスプラチン(CDDP)、5-フルオロウラシル(5-FU)は癌細胞にアポトーシスを誘導する。この時、NF-κB活性を抑制した細胞株ではコントロール細胞に比較し、RT、5-FUによるアポトーシスの増強を誘導するものの、CDDPに対しては誘導の増強が検出できなかった。すなわち、CDDPはNF-κBのシグナル以外の経路を主として癌細胞にアポトーシスを誘導することが示唆できた。また、in vivoの実験からも、NF-κB活性の抑制はRT、5-FUに対する腫瘍増殖抑制の増強作用をしていた。つまり、抗アポトーシスに作用するNF-κB発現制御の点から、癌細胞にアポトーシスをより効果的に誘導するRT、5-FUとCDDPの組み合わせのレジメンの構築は可能であると考えられた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Tetsuya Tamatani: "Enhanced IκB kinase activity is responsible for the augmented activity of NF-κB in human head and neck carcinoma cells"Cancer Letter. 171. 165-172 (2001)
-
[Publications] Masayuki Azuma: "5-Fluorouracil suppression of NFκB kinase is mediated by the inhibition of IκB kinase activity in human salivary gland cancer cells"Biochem Biophys Res Commun. 282(1). 292-296 (2001)
-
[Publications] Katsumi Motegi: "Effect of a mutant form of IκB-α on 5-fluorouracil-induced apoptosis in transformed human salivary gland cells"Eur J Cancer, Oral Oncology. 37(2). 185-192 (2001)
-
[Publications] 東 雅之: "ヒト唾液腺腺房細胞におけるTNF-αによるMMP-9発現調節機構"日本口腔科学会雑誌. 50(2). 71-81 (2001)
-
[Publications] 玉谷 哲也: "口腔癌細胞への変異型IκB-α遺伝子導入による抗血管新生作用を介した"口腔組織培養学会誌. 10(2). 45-54 (2001)
-
[Publications] Masayuki Azuma: "Suppression of tumor necrosis factor α-induced matrix metalloproteinase 9 production in human salivary gland acinar cells by Cepharantine occurs via down regulation of nuclear factor κB"Arthritis & Rheumatism. 46(6). 1585-1594 (2002)