2002 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節強直症実験モデル(羊)における中間挿入物を用いた外科的療法後の治癒経過
Project/Area Number |
13771244
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
松浦 宏昭 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (20329618)
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Keywords | Animal / Temporomandibular joint / Ankylosis / Interposition / Surgical treatment |
Research Abstract |
顎関節強直症は顎関節部への外傷や感染により線維化や骨増殖を来たし、顎関節が非可動となり、開口、咀嚼、発音機能が著しく制限された病状である。今研究では既報告の顎関節強直症モデル羊を用い顎関節部の癒着を切離し、顎関節内への中間挿入物として日常臨床において広く応用されている生体材料である自家咬筋移植による顎関節再建を施行、機能的、X線的ならびに病理組織学的に観察した。 結果: 開口域では顎関節強直症の作製に伴い全ての羊で減少を認めた。しかしながら垂直的開口域および右側方可動域では自家咬筋移植により全ての羊で開口域の増加を認めたものの左側方可動域では変化は認めなかった。また体重においては顎関節強直症により減少したが咬筋移植後、体重増加を認めた。 X線的に5頭中4頭は咬筋移植により関節間隙は維持されていた。下顎頭、関節窩表面においても骨増殖は見られなかった。 病理組織学的に咬筋移植片は全ての関節で萎縮変性し関節腔内は線維性結合組織で満たされていた。また部分的にbony islandが散在していた。下顎頭、関節窩表面において骨増殖は制御された。 まとめ: 日常臨床において開口域の改善は重要な要因の1つであり、本研究において機能的、X線的にも良好な結果であった。しかしながら病理学的評価においては関節腔内の筋組織が萎縮変性していることにより、今後の治癒過程において再強直の可能性も考えられた。
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