2001 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠―覚醒リズムおよびエネルギー代謝調節機構における口腔感覚入力の役割
Project/Area Number |
13771264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤瀬 多佳子 九州大学, 歯学部・附属病院, 助手 (50284518)
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Keywords | 咀嚼 / エネルギー代謝 / 食事性熱酸生 / 低硬度飼料 / 概日リズム / フリーラン |
Research Abstract |
咀嚼と全身の健康について関心が高まっている。本研究は、エネルギー代謝調節における口腔内感覚の役割と口腔内感覚入力の違いによる生体の概日リズム変化について検討することを目的とした。視床下部ヒスタミン神経系は食行動調節、体温調節、概日リズム調節などに関与していることがわかっている。われわれは、咀嚼時の口腔感覚入力が、脳内ヒスタミン神経系を介して満腹感形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした。神経ヒスタミンをα-フルオロメチルヒスチジンの脳室内投与により枯渇させた場合に、食事に伴う体温変動がどのように変化するか、ラット腹腔内に体温および活動量測定用送信機を慢性留置し観察を行った。通常、体温は食事開始と同時に上昇し、その変動曲線は消化吸収前と消化吸収後の2相性のピークを示す。視床下部における神経ヒスタミン機能を脱落させた場合、通常飼料摂食に対する消化吸収前の体温上昇率が低下することがわかった。活動量には両群間に相違は認められなかった。この現象は、通常固形飼料の約2分の1の硬度をもつ低硬度飼料をラットに与えた場合の体温変化に類似したパターンを示した。咀嚼と概日リズム変化について調べるために、明暗周期12時間の恒温恒湿環境下で、離乳直後4週齢時より12週齢時まで硬度が異なる2つの飼料でラットを飼育し、その後、24時間恒暗条件下フリーランの状態に環境変化させた場合の活動量変化について、2群間および環境変化前と比較した。その結果、通常飼料長期摂取群が低硬度飼料長期摂取群よりも環境変化に対して、速やかに反応し順応していることがわかった。すなわち、光による体内時計への刺激が遮断された環境条件下では、咀嚼時の口腔内感覚入力の違いが生体リズム変化に影響を及ぼしていることが示唆された。
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