2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血清中の歯周病原性細菌に対する抗体の微細特異性と生体防御機能
Project/Area Number |
13771273
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鉛山 ゆかり 鹿児島大学, 歯学部附属病院, 助手 (90325811)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 線毛 / 歯周病 / IgGサブクラス |
Research Abstract |
歯周炎の病原因子として注目されているPorphyromonas gingivalis(Pg)及びその線毛に対する血中IgG抗体価をサブクラス特異的に測定することにより、歯周炎のスクリーニング検査及び予後判定への応用の可能性を探る目的で研究を行った。昨年度、Pg線毛に対するヒト末梢血抗体のサブクラス特異的なELISA法を確立し、先にPg線毛に対する総IgG抗体価の上昇が認められていた59名の血清IgGサブクラスの分布及び歯周疾患との関連性について解析した。IgG1抗体は59名中23名にIgG2抗体は42名に検出され、IgG3及びIgG4抗体はほとんど検出されなかった。歯周疾患との関連性については、CPIコードの増加に伴いIgG1とIgG2の抗体価の和が高くなる傾向があり、またCPIコード4の群では3以下の群に比較して有意なIgG2抗体の上昇が認められた。IgG2抗体はCPIコードと無関係に多くの被験者で検出されたが、IgG1抗体はCPIコード2以下の者の85%で検出されず、Pg線毛抗体のIgG1特異的な測定は歯肉炎と歯周炎を識別する集団スクリーニング検査としての有望性を示唆している。また、歯周病の予後について検討するために再度歯科健康診査を行った。さらに、血清中のIgG1、IgG2抗体がPg線毛のどのような構造を認識するかを調べるため、線毛を80℃30分間熱処理し、様々な分子量のオリゴマー及びモノマーに分解し、ウェスタンブロット法により分析した結果、IgG1及びIgG2どちらも同じような分子量のオリゴマーを認識し、モノマーにはほとんど結合しなかった。99℃15分間熱処理を行い全てモノマーにしたものに対してもIgG1、IgG2共にほとんど結合せず、血清中の抗Pg線毛抗体はIgGサブクラスの違いに関らず線毛多量体の立体構造を認識するものが主体であることが明らかになった。
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