2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌感染細胞のアポトーシス発現における膜小胞の役割
Project/Area Number |
13771310
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
加藤 幸紀 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50281283)
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Keywords | A.actinomycetemcomitans / 膜小胞 / ロイコトキシン |
Research Abstract |
平成13年度では歯周病原性細菌であるActinobacillus actinomycetemcomitansより産生される膜小胞を精製し,産生膜小胞とロイコトキシンの関係について検討を行った。 ロイコトキシン活性の強いA.actinomycetemcomitans JP2株とロイコトキシン活性の弱い652株を用いて,これらの細菌株より膜小胞を抽出・精製した。まず膜小胞の構造解析を行った。電子顕微鏡観察の結果,膜小胞は約50-100nmの2重膜構造を有し,細菌外膜より産生される所見が認められた。またクロマトグラフィー解析により膜小胞は細菌外膜成分であるリポ多糖などのリピド成分を含有していることが明らかになった。さらに膜小胞のタンパク構成を調べるために電気泳動を行ったところ,構成タンパクは細菌外膜タンパクと非常に類似していた。膜小胞の遺伝子解析を行ったところ,膜小胞は細菌外膜を構成するリポタンパクとロイコトキシンに相同性が認められた。次にロイコトキシンに関して検討を行った。膜小胞タンパクを電気泳動した後,抗ロイコトキシン抗体を用いたウェスタンブロットを行ったところ,ロイコトキシン活性の強いJP2株より精製した膜小胞中には豊富にロイコトキシンを含有していることが明らかになった。さらにヒト白血病細胞であるHL60細胞と膜小胞を共培養し,その細胞障害性について調べたところ,652株に比べJP2株において約4-5倍高いロイコトキシン活性が認められた。以上の結果から,A.actinomycetemcomitansより産生される膜小胞はロイコトキシンを豊富に含有した細菌外膜に由来する構造体であり,菌体外へロイコトキシンを媒介して宿主細胞の影響をおよぼす役割を担っている可能性が示された。 平成14年度において,宿主細胞に対する膜小胞の役割について検討を加える予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Satsuki Kato, Yusuke Kowashi, Donald R.Demuth: "Outer membrane-like vesicles secreted by Actinobacillus actinomycetemcomitans are enriched in leukotoxin."Microbial Pathogenesis. 32. 1-13 (2002)