2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771319
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
伊藤 正満 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (10319197)
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Keywords | BMP / 加齢 / 骨誘導 / SAM |
Research Abstract |
骨形成因子(BMP)は,生体内で異所性に新生骨を誘導できる蛋白質として知られており,その臨床応用が期待されている.しかし,移植宿主の加齢がBMPによる骨誘導能にどのような影響があるかはほとんど知られていない.そこで,短期間にその生涯を終える,老化促進モデルマウス(Senesence-acc elarated mouse:以下SAM)を使用し,BMP移植実験を行うこととした.BMP移植部の軟X線写真像を用いコンピュータ画像解析により解析,新生骨誘導量を測定するとともに病理組織標本を製作,SAMにおける加齢とBMPによる新生骨誘導量の関係を検討し,以下の結論を得た. 1.SAMにおいて,生涯におけるいかなる年齢においてもBMPは新生骨を誘導することが可能であった. 2.BMP移植による新生骨誘導量は移植宿主の加齢状態によって,変化した. 3.BMP移植による新生誘導量はSAMにおける若齢時(6カ月齢)までは減少したが,高齢時(8カ月齢以上)においては再び増加する傾向を示した. 4.高齢時においても若年期と同量の新生骨を誘導することが可能であったことから,ヒトの高齢者においても,BMPによる新生骨誘導が期待し得るのではないかと考えられた. 以上の事実はヒトにおける高齢者においても骨誘導の可能性が失われていないことを示唆している.すなわち,今回,SAMにて推定された,高齢時の新生骨誘導を増強する何らかの因子の存在は,全身的骨代謝の低下している高齢者の生体においても,大量の新生骨誘導が可能であることを示唆しており,それらの機構を解明することは,いままで高齢者では不可能と考えられていた大規模な骨欠損に対する治療を可能にすると考えらる.これらの制御因子の解明は,高齢者だけにとどまらず,新しい骨再生への道を開くためにも大きく貢献するものと考えられる.
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