2001 Fiscal Year Annual Research Report
新規ブレンステッド塩基ルイス酸不斉触媒を用いるアルドール反応
Project/Area Number |
13771328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
鈴木 健之 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (10262924)
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Keywords | 触媒的不斉合成 / 不斉アルドール反応 / Ca触媒 / ヒドロベンゾイン / 金属アルコキシド / 直接的アルドール反応 |
Research Abstract |
触媒量の不斉源から無限の光学活性体を合成可能な触媒的不斉合成法の開発は現代有機化学の最重要課題の一つである。非修飾ケトンとアルデヒドの直接的不斉アルドール反応は原子効率の観点から、エノラート等価体を用いる反応と比べ理想的な方法の一つである。これまで、分子触媒、酵素、または抗体を触媒として用いる例が報告されているが、触媒の反応性、また触媒効率の点において課題を残す。今回、同一分子触媒中に積極的にルイス酸部位とブレンステッド塩基部位を構築するという新しい概念に基づき、新規分子触媒の開発を目指し、アルカリ土類金属アルコキシドを中心に検討した。その結果、CH_3CH_2CN-THF溶媒中、Ca[N(Si(CH_3)_3)_2]_2(thf)_2と(S, S)-ヒドロベンゾインとKSCNを室温で調製した(S, S)-ヒドロベンゾイン/Ca触媒が有効であることを見出した。本触媒を3mol%用いてアセトフェノンとピバルアルデヒドのアルドール反応を行った結果、最高91%eeで対応するアルドール体が得られた。ルイス酸部位の金属の効果についても検討をしたところ、同族のMg、Ca、Sr、Baへと金属の原子番号が大きくなるに連れ、反応性の向上が見られたが、選択性はCa触媒が最も良い結果を与えた。またブレンステッド塩基部位のヒドロベンゾインのベンゼン環上に置換基を導入した誘導体について検討した結果、パラ位がメトキシ基で置換されたヒドロべンゾイン誘導体が反応性と選択性の向上をもたらした。さらに本反応を用いて坑腫瘍活性物質Bryostatin7の構成単位の合成を検討した結果、収率76%最高91%eeで目的とするアルドール体を得ることに成功した。本反応はgスケールでの反応も問題なく進行し、また触媒量を1mol%に低減しても大きな選択性の低下を伴わず、既存の直接的不斉アルドール反応の中で最も反応性が高いと考えられる。
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