2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカルの反応性制御に基づく低イオン性ビラジカル生成モデルの開発
Project/Area Number |
13771334
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鈴木 一郎 徳島大学, 薬学部, 助手 (40294714)
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Keywords | エンインアレン / 芳香環化 / 一重項ビラジカル / DNA切断 / シアンヒドリン / DNA親和性部位 / ポリアミン |
Research Abstract |
エンインアレンのMyers-Saito型芳香環化反応によって生じるα,3-ジデヒドロトルエンビラジカルは一重項ビラジカルであることから、高いZwitterione的な性質を有している。このビラジカルのイオン的な反応性を抑え、ラジカル的な性質を高くするためにベンジル位に種々の置換基を導入し、その反応性を検討した。その結果ベンジル位に電子吸引基を導入した場合、イオン的な反応性が抑えられ、ラジカル的な反応性が高まることを見出した。また、ラジカル性が高いビラジカル及びイオン性が高いビラジカルのDNA切断活性を測定したところ、ラジカル性が高いものは高い切断活性を示したのに対し、イオン性のビラジカルはほとんど活性を示さなかった。以上の結果を基に、ベンジル位に電子吸引基を持つビラジカルを生成するモデル化合物を開発した。このモデル化合物の特徴は、シアンヒドリンの脱プロトン化によりカルボニル基が生じ、そのカルボニル基がエンジイン骨格のエンインアレンへの異性化を引き起こし、芳香環化反応が起きることにある。すなわち、シアンヒドリンの水酸基の保護基という形で「Triggering Device」を導入できるという特色を有している。この特色を生かして、加水分解、光照射をトリガーとするビラジカル生成モデルの開発に成功した。光照射をトリガーとするモデル化合物では、シアンヒドリンの保護基(光照射により脱保護されるもの)を種々検討し、その部分の最適化を行うと同時に、DNAの光切断にエンインアレンの芳香環化によって生じたビラジカルが関与していることを明らかにした。また、このモデル化合物のDNA切断活性の向上を目的としてDNA親和性を導入したモデル化合物を合成した。DNA親和性部位としてSpermine, Spermidine等をのポリアミン類を導入したところ、切断活性の飛躍的な向上が見られた。
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[Publications] I.Suzuki: "Acid-catalyzed Cycloaromatization of Enediyne Model Compounds via Enyneallene Intermediates"HETEROCYCLES. 54(2). 571 (2001)
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[Publications] I.Suzuki: "Synthesis of enediyne model compounds possessing a cyanohydrin moiety as a triggering device"Tetrahedron Letters. 43. 6779 (2002)