2001 Fiscal Year Annual Research Report
メタロチオネインによる発現制御を受ける遺伝子群の検索とその発現調節機構の解明
Project/Area Number |
13771368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
三浦 伸彦 独立行政法人産業医学総合研究所, 健康障害予防研究部, 研究員 (20229644)
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Keywords | メタロチオネイン / ノックアウトマウス / DNAマイクロアレイ / 発現制御 / 肝臓 |
Research Abstract |
研究代表者は、メタロチオネイン(MT)が欠損することにより発現量が低下する遺伝子(NM31)を見出し、NM31の発現がMT欠損細胞にMT遺伝子を再導入することにより再び認められるようになることから、MTによる遺伝子発現調節という本蛋白質の新しい生理機能を示唆する知見を得ている(FEBS Letter,479,146,2000)。しかしNM31は正常細胞中での転写量が低いため、このことがMTによる転写調節機構を解明するための妨げとなっている。従ってMTによる遺伝子発現調節機構を解明するためには通常の発現量がNM31よりも多い標的遺伝子を同定することが必要である。そこで本年度は、最近多く利用され始めているDNAマイクロアレイ法を用い、MT欠損により発現量の変動する遺伝子群を網羅的に検索した。検討にはMT欠損マウス及びその対照マウス(共に4週齢♂)の肝臓から抽出したRNAを用い、Cy3-dCTP及びCy5-dCTPを含む逆転写反応によりラベル化cDNA probeを作製した。マイクロアレイにはAgilent社のmouse arrayを用い、本アレイ上にスポットされた約8,500種の遺伝子群の発現量を比較した。その結果、MT欠損により数種類のリン酸化酵素、及び転写因子(transcription activater factor-1)をコードする遺伝子の発現量が大きく減少しているという興味深い知見を得た。この結果が真実だとすれば、MTが遺伝子発現調節に関わっている可能性を強く示唆できる可能性もある。現在、アレイの結果について、発現量の変動する遺伝子群のクラスター解析を行っており、どの様な遺伝子が変動するのか体系的に分類できるものと思われる。また得られた結果を基に、次年度はreal time PCR法を用いた定量的な検討を行うと共に、確実に発現量が変動する遺伝子について、その転写調節機構を解明していく予定である
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