2002 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全時における有機アニオントランスポータ発現変動の分子機構解明
Project/Area Number |
13771412
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 智先 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303825)
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Keywords | 腎尿細管 / トランスポータ / 有機アニオン / 有機カチオン / 発現調節 / 腎不全 / 刷子縁膜 / メトトレキサート |
Research Abstract |
ヒトにおける腎不全モデル動物として繁用されている5/6腎摘出ラットを用い、腎不全の進展に伴う尿細管有機アニオントランスポータ群の発現変動を分子的・機能的に明らかにすることを目的として系統的な解析を行い、以下の研究成果を得た。 5/6腎摘出2週間後の腎におけるOAT-K1、OAT-K2、OCT2 mRNAレベルは著しく低下していた。同時にin vivo体内動態実験を行ったところ、アニオン性抗癌剤メトトレキサート(MTX)並びにカチオン性H2阻害薬シメチジンの腎クリアランスは5/6腎摘出群で対照模擬処置群の20%に迄低下していた。一方、OAT-Kと同様に尿細管管腔側に局在し、MTXを輸送する有機アニオントランスポータMRP2の発現量は5/6腎摘出群で維持されること、血管側側底膜においてイオン性薬物の細胞内取り込みを媒介するOAT1、OAT3,OCT1発現は5/6腎摘出による影響を受けないことが示された。さらに、模擬処置群ではフォリン酸投与によるMTXの尿中排泄促進効果が認められたのに対し、5/6腎摘出群ではフォリン酸投与によるMTX腎挙動の変化は観察されなかった。同時に、5/6腎摘出ラットに微量のテストステロンを負荷したところ、OCT2発現の回復とシメチジンクリアランスの再上昇が認められ、腎不全に伴うカチオン性薬物の腎排泄能低下には、一部血清テストステロン濃度の低下に起因するOCT2発現低下によることが示唆された。以上、腎局在性有機イオントランスポータOAT-K並びにOCT2は、病変の進展に伴う発現変化とそれに伴う薬物腎排泄挙動の変化に深く関わることが明らかとなった。さらに、OCT2については腎病変そのもののみならず血清テストステロン濃度にも機能的・分子的に調節されることがin vivoレベルで明らかとなった。 これらの研究成果は、イオン性薬物の尿中排泄機構を詳細に理解する上で有用な基礎情報を提供するのみならず、病態時における尿細管有機イオントランスポータ群の発現変動に着目した薬物の適正使用法確立の重要性を明らかにするものと考える。
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[Publications] Masuda, S.: "Functional characteristics and pharmacokinetic significance of kidney-specific organic anion transporters, OAT-K1 and OAT-K2, in the urinary excretion of anionic drugs"Drug Metabol Pharmacokin. (印刷中). (2003)
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[Publications] Horiba, N.: "Cloning and characterization of a novel Na^+-dependent glucose transporter NaGLTI in rat kidney"J Biol Chem. (印刷中). (2003)
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[Publications] Goto, M.: "Decreased expression of P-glycoprotein during differentiation in the human intestinal cell line Caco-2"Biochem Pharmacol. (印刷中). (2003)
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[Publications] Goto, M.: "C3435T Polymorphism in the MDR1 gene Affects the Enterocyte Expression Level of CYP3A4 rather than Pgp in Recipients ofLiving-donor Liver Transplantation"Pharmacogenetics. 12・6. 451-457 (2002)
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[Publications] Ji, L.: "Down-regulation of rat organic cation transporter rOCT2 by 5/6 nephrectomy"Kidney Int. 62・2. 514-524 (2002)
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[Publications] Kodawara, T.: "Organic anion transporter oatp2-mediatecl interaction between digoxin and amiodarone in the rat liver"Pharm Res. 19.6. 738-743 (2002)
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[Publications] Shimomura, M.: "Roles of the jejunum and ileum in the first-pass effect as absorptive barriers for orally admministered tacrolimus"J Surg Res. 130・2. 215-222 (2002)
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[Publications] Motohashi, H.: "Gene Expression Levels and Immunolocalization of Organic Ion Transporters in the Human Kidney"J Am Soc Nephrol. 13・4. 866-874 (2002)
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[Publications] 増田智先: "薬物動態における薬物トランスポーターの分子機構"日本臨床. 60・1. 65-73 (2002)
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[Publications] 増田智先: "臓器移植患者におけるタクロリムスの適正使用-体内動態の個人差の遺伝子解析-"医学のあゆみ. 201・9. 611-615 (2002)
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[Publications] 乾 賢一(監修) 京都大学医学部附属病院薬剤部(編著): "薬剤師が変える薬物治療:病院薬剤部から"じほう. 214 (2002)