2001 Fiscal Year Annual Research Report
薬物排出トランスポータをターゲットとした抗癌剤耐性克服法の確立
Project/Area Number |
13771445
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高良 恒史 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (00329939)
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Keywords | MDR1 / P糖蛋白質 / 多剤耐性 / カルシウム拮抗薬 / 抗真菌薬 / 耐性克服 |
Research Abstract |
1.MDR1(P糖蛋白質)に対して競合的阻害作用を示すカルシウム拮抗薬に着目し、MDR1の機能および発現に及ぼすカルシウム拮抗薬の影響についてヒト子宮頸癌由来HeLa細胞を用いて検討した。その結果、ペラパミルまたはニカルジピンで前処置したHeLa細胞のビンブラスチンに対する感受性は未処置群の場合と比較して高かった。また、ペラパミルあるいはニカルジピン前処置により、MDR1基質であるローダミン123の細胞内蓄積量は増大し、排出量は減少傾向を示した。さらに、MDR1mRNAの発現量はペラパミルまたはニカルジピン前処置により減少する傾向が認められた。一方、ニトレンジピン前処置の場合、上記2剤と相反する結果を得た。以上の結果より、カルシウム拮抗薬はMDR1の発現に影響を及ぼすことが示唆された。 2.MDR1の関与した多剤耐性に対する各種抗真菌薬の耐性克服効果についてHeLa細胞およびビンブラスチン耐性HeLa細胞(Hvr100-6;MDR1を高発現)を用いて検討した。その結果、イトラコナゾールはHvr100-6細胞のビンブラスチンおよびパクリタキセルに対する感受性を回復させたが、他の抗真菌薬フルコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾールおよびアムフオテリシンBによる回復は認められなかった。また、イトラコナゾールによる耐性克服効果は、抗癌剤の細胞内蓄積量の増大に起因することも明らかにした。以上の結果は、イトラコナゾールがMDR1の関与した多剤耐性を克服できる可能性を示すものである。
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