2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771473
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 美樹子 大阪大学, 医学部, 講師 (80294099)
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Keywords | 障害児・者 / 家族支援 / エンパワメント |
Research Abstract |
地域で生活する障害児・者の自立モデルを、自立に関する社会規定性の観点から構築することを目的に研究を進めている。本研究でいう社会規定性の観点とは、人生の歩み方、発達のし方といった継続的な過程や継起的な(物事が相次いで起こる)過程に対して、ある時点の状態や条件や環境がその後の生命と生活の変化や転機や選択にどのように関係しているかを把握する視点である。 今年度は、点頭てんかん児の出生から成人するまでの疾患・障害と発達の経過についての成果をまとめ論文発表した。すでに成人している点頭てんかん児の予後については発作頻度は成人期に至っても「週・日単位」で継続するものが多かった。一方、児の出生年代が若くなると「発作なし」の割合が高くなっており、治療方法や乳幼児健診体制の改善・養護学校の義務化など治療や福祉に関するアクセスビリティの改善によってQOLが高くなっている様子が明らかになった。また家族形態にも変化が見られており、1970年代以前は点頭てんかん児をもつ家庭では一般と比較して子どもの数が少なかったが、児の出生年代が若くなるにつれて子どもの数が多くなることを明らかにした。これは、障害や疾患をもった子どもをもちながらも子どもを育てることが容易になってきたためではないかと考えられた。そのため次の段階として、障害児・者の自立を考える上で、家族の中のきょうだいの存在に着眼し、障害児・者を抱える家族を障害児・者と親という関係だけに限局せず、きょうだいの存在を含めて検討することとした。 障害児・者家族に関する既存研究のレビューをおこなった結果、障害者と母親との関係や障害者本人を対象とした研究が蓄積されているのに比べて、きょうだいに着眼した研究は国内ではほとんど明らかにされていないことが分かった。レビューの成果や家族からみた障害児・者にとっての自立を明らかにするために、主として知的障害児・者のきょうだいを対象としてインタビュー調査を計画した。データ収集に着手し、分析を同時に進めている段階である。
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