2002 Fiscal Year Annual Research Report
低出生体重児を出産した女性の事例的調査からみた社会経済環境要因との関連
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13771510
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
平井 栄利子 浜松医科大学, 医学部, 教務員 (40324355)
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Keywords | 低出生体重児 / 少数事例調査 / 多数事例調査 / 社会経済的要因 / 育児 / コミュニケーション / 共有感 |
Research Abstract |
本研究の目的は、低出生体重児を出産した女性の事例的調査から、社会経済的環境が妊娠、出産、育児に及ぼす影響を明らかにすることである。調査方法は、低出生体重児を出産した女性の少数事例から、丸山の健康決定要因に基づき、情報の整理を行った。母親の子への関わり方に影響する要因と子の発達の関係を検証する目的で、平成14年11月〜平成15年2月に4ヶ月の児をもつ母親を対象に、面談時または郵送にて調査票を配布し、配布場所または郵送により回収した。 配布数153名中66名(43%)より回答を得た。初産30名、経産36名、親の年齢(平均±SD)は、母親28.9±4.9歳、父親31.6±6.6歳で、在胎週数(平均±SD)は39.3±1.3週、出生体重(平均±SD)は3058±275gであった。 育児に対する夫との共有感に対し、「とてもそう思う」31名(51%)、「時々そう思う」27名(44%)、「思わない」3名(5%)であった。夫との共有感を「とてもそう思う」と回答した母親の子は、身体的発達面(ねがえり、見せたものをつかもうとする)で、育児に対する夫との共有感を「時々そう思う」と回答した母親の子より早いものが多かった。また、「自分を呼んでいる」や「あやすと笑う」などの情緒的発達面では、育児に対する夫との共有感の相違による子の発達に差はなかった。育児に対する夫との共有感は、育児期の母親にとって、子の発達を促進するような働きかけに影響していると考えられた。 ほぼ全員の母親は、子の欲求および発達に対して4ヶ月では、何をしてほしいかを察しているか、または何とか対応しており、「育てやすい子」または「ふつうだと思う」という感じ方をしていた。この時期には、母親と子のコミュニケーションは確立しており、親子関係の確立に問題がある場合には、適切な介入が必要であると考えられる。
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