2002 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病食から蛋白制限食に変更になった患者の食事療法への認識の再構築の試み
Project/Area Number |
13771517
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
住吉 和子 岡山大学, 医学部, 助手 (20314693)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 食事療法 / タンパク制限食 / 患者の認識 |
Research Abstract |
1.食事摂取量を把握するための質問項目と、認識を把握するための質問項目の抽出 医学中央雑誌、Medlineを用いて「食事調査」「認識」について検索を行い、食事摂取量を簡単に把握するための質問紙の検討を行った。使い捨てカメラを用いて1週間分の食事をすべて撮影してもらい、終了時に作成した質問用紙に答えてもらい、質問紙の精度を確認した。認識については、文献の自尊感情など既存の尺度と昨年のインタビューの結果から検討し、糖尿病性腎症に特有な項目を加えて質問項目を抽出した。 2.糖尿病外来における糖尿病性腎症患者の事例検討 O大学附属病院の糖尿病外来に通院している糖尿病性腎症と診断された3名について、昨年のインタビューから得られた結果をもとに、介入を行った。認識について共通していたのは、この先どうなるのかという将来への不安、「不確かさ」であり、このことについては、医療者にも家族にも相談できないで一人で抱えていた。この不確かさが、内服を中止したり、食事を今までどおりの内容で摂取したりという行動に繋がっていることが明らかになった。3名のうち1名は、「不安はあるけどできるだけ生活を楽しみたい」と前向きに考えているため、病院で指導されたとおりでなく、まず食べたいものを少しは食べて、平均的に塩分の摂取量や蛋白質の摂取量を調節するなど工夫をしており、結果として病状は安定していた。糖尿病教室など患者間の交流が自己管理行動を継続するための大きな要素となるが、糖尿病性腎症を合併した人には患者がお互いに交流する機会がないことも自己管理行動の継続を困難にしている要因であると考えられる。また食事療法については、既存の報告と同様に、患者自身が受け入れて生活に取り入れるまで約3年の月日が必要であることが確認できた。 3.今後の課題 今後の課題として、保存期にある腎不全患者が、健康を維持するために医療者や患者間で気軽に悩みを話すことができる場が必要である。蛋白制限に変更になった患者に医療者の関わり方についても検討する必要が示唆された。
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