2002 Fiscal Year Annual Research Report
癌性疼痛をもつ子どもの睡眠導入への援助方法の開発-代替的療法(Alternative Therapies)を用いて-
Project/Area Number |
13771533
|
Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
松林 知美 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (40305701)
|
Keywords | 子ども / 癌性疼痛 / 睡眠導入 / 代替的療法 / Alternative Therapies / 足浴 |
Research Abstract |
睡眠の機構および代替的療法についての文献検討と、先行研究の結果から得られた看護師の睡眠導入時のケアの分析をもとに、「消灯前の足浴」と「眠るまでそばにいること」による睡眠導入方法を見いだした。がんの子どもを対象とした病棟にて、熟眠感を得られていないと感じている急性リンパ性白血病と診断された8歳の患児を対象に1事例の介入研究を行った。全6クールの化学療法中4クール目の骨髄抑制期8日間、5クール目の化学療法期7日間介入した。骨髄抑制期では、化学療法の副作用の口内炎が著明であり、その悪化と痛みに対する不安により十分な睡眠が得られていなかった。化学療法期では、母親との分離不安により夜間幾度も覚醒し家に電話している状況であった。介入の結果、骨髄抑制期では、入眠までに要する時間の短縮、途中覚醒回数の減少が認められた。その要因としては、介入期間中に口内炎の治癒や薬剤投与による痛みのコントロールがついてきたこと、足浴により深部体温が上昇し睡眠の深さが増したこと、患児自身が連日「足浴」と「そばにいること」を希望してきたことからも足浴による熟眠感と、眠りにつくまで誰かがそばにいてくれる安心を実感していたことが考えられる。化学療法期では、足浴後から入眠するまでの時間の短縮および、途中覚醒回数の減少は認められなかった。その要因としては、骨髄抑制期のようにクリーンカーテン内から出られない状況ではなく母親に電話するという手段がとれること、「カーテンに入ればあと半分」という患児の表現からクールの前半期間であり我慢の時間がまだ続くという気持ちが影響していたことが考えられる。したがって、今回の介入では、この対象患児にとって骨髄抑制期における「足浴」と「そばにいること」は有効であったと考える。 今回の研究では、時間的な制約があり1事例の介入研究であったが、今後症例数を重ね具体的な援助方法の開発を行う必要がある。
|