2001 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病患者の退院支援に対する看護婦・士の臨床判断と「退院支援指標」の作成
Project/Area Number |
13771538
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
青木 典子 高知女子大学, 看護学部, 助手 (80305812)
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Keywords | 精神分裂病患者 / 退院支援 / 臨床判断 |
Research Abstract |
今年度は、「退院支援指標」を作成するための前段階として、精神分裂病患者の退院支援に対する看護婦・士の臨床判断を明らかにすることを目標とした。 1)まず、既存の文献・研究から「精神分裂病患者の退院支援に対する看護師の臨床判断モデル」を作成した。 精神科の看護師は、分裂病患者の退院の方向性について、「患者の意志・希望」「病状・病的体験の程度」「治療の継続性」「セルフケア能力」「ソーシャルサポート」の5つの領域(退院の判断基準の領域)から判断している。 そして、退院支援方法の選択においては、退院の判断基準の領域でアセスメントしたことをもとに、<現在の患者の生活像>と<退院後に求められる患者の生活像>のギャップをいかに埋めていくかを考えあわせて、かつ焦点をあてて関わるべき領域を絞り、<タイミング>を見極め<援助のコツ>を駆使しながら援助を行っている。 また、これらの臨床判断には、その患者の個別性と看護者の過去の経験が土台になっていると考えられる。 2)このモデルをもとに、臨床経験豊かな看護師10名にインタビューを行い、モデルを洗練化し、「退院支援指標」の作成(来年度の目標)につなげる予定である。 現在、4名の救急・急性期病棟で勤務する看護師にインタビューを終えた(インタビューは5月頃に終了する予定である)。これまでのインタビュー結果の分析からは、特に早期退院を目指す場合に、"時間的な見通し"の重要性が新たに指摘され、モデルの中で時間的な見通しをどのように組み込んでいけるかが今後の課題といえる。またソーシャルサポートの中に入れていた"家族"の存在を独立させて抽出する必要があるのではないかと考えている。 さらに、臨床判断の土台の1つとして"病院・病棟の退院援助に対する思想・ルール"が大きく影響していることが伺われ、この点もモデルの中で反映させていきたいと考えている。
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