2001 Fiscal Year Annual Research Report
走トレーニングは脳における海馬神経の新生・増殖および認知機能を促進するか?―成長ホルモン,インシュリン様成長因子からの検討―
Project/Area Number |
13780008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 理香 筑波大学, 体育科学系, 助手 (30312838)
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Keywords | 脳海馬 / 神経栄養因子 / グルココルチコイド / 走トレーニング |
Research Abstract |
(目的)走トレーニングが,脳海馬における神経栄養因子(BDNF),グルココルチコイド・ミネラルコルチコイド受容体(GR,MR),成長ホルモン受容体(GHR),インシュリン様成長因子(IGF-I)遺伝子(mRNA)発現に対する走トレーニングの影響について検討することを目的とした。 (方法)16週齢の雄性S.D.ラットを高強度走トレーニング群(High),低強度トレーニング群(Law)およびコントロール群(CON)の3群に分けた。High群には25m/min,Low群には10m/minの速度で60分間のトレッドミル走を5回/週,4週間おこなわせた。コントロール群はケージ内飼育のみとした。トレーニング期間終了2日後に,安楽死させ,採血後,脳サンプルを摘出し,in situハイブリダイゼーション法により海馬の3領域(CA1,CA3,DG)における上述の遺伝子発現量を測定した。また,同時に摘出したヒラメ筋のクエン酸シンターゼ(CS)活性を測定し,トレーニング効果を評価した。 (結果および考察) ヒラメ筋CS活性は両トレーニング群が高値を示す傾向にあり,本研究で用いたトレーニングが有酸素性エネルギー代謝を活性化させる効果があったことを確認した。 BDNF mRNA発現量は,CA1およびDGにおいてHigh群がLow群と比較して高値を示す傾向にあった。これに対して,強度依存的に増加し,BDNF mRNA発現量を抑制する因子の一つとして知られているグルココルチコイドの受容体(GR)のmRNA発現量は,いずれの領域においても3群間に差は認められなかった。以上の結果から,一過性ではストレス反応を惹起する高強度(>20m/min)の走トレーニングは,神経新生,サバイバル等に関与しているBDNF mRNA発現を高め,これには運動継続によるmRNAレベルでのグルココルチコイドの作用抑制が関与している可能性が示唆された。
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