2001 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のsteadiness(力調節安定性)低下が筋力トレーニングで改善する機序
Project/Area Number |
13780010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 稔 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70241213)
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Keywords | steadiness / 高齢者 / 力発揮 |
Research Abstract |
力調節安定性は,張力や関節角度(一定値あるいは定速変化値)が目標値に一致するように力を調節する課題において,目標値に対する実行値の変動(標準偏差,変動係数)をどの程度小さくできるかによって評価し,steadinessと呼ばれている.本研究では,高齢者における一側性の筋力トレーニングが対側のsteadinessを改善させるかどうか,そしてその機序を明らかにすることを主な目的とした.平成13年度は,その第一段階として高齢者と若年者における利き手と非利き手のsteadinessの相違の有無を明らかにすることを目的とした.力発揮形態は,手の第2指(人差し指)を第1指(親指)に近づける方向(内転)の等尺性動作を用い,第1背側骨間筋(FDI)の収縮を対象とした.被検者は日常的な運動習慣を有さない健康な成人男女で,若齢成人8名,高齢者7名であった.実験用イスに座った被検者のそれぞれの手を第1指と第2指を開いた状態で固定し,第2指の第2関節内側を張力センサ接する形でFDIの等尺性筋力を測定した.随意最大筋力(MVC)の2.5%および10%に相当する力レベルを目標値としてオシロスコープに提示し,被検者は発揮筋力が目標値に一致するように各20秒間の力発揮を2回ずつ行った.発揮筋力の変動から変動係数(CV)を算出し,また表面筋電図の平均振幅によってFDIの活動を評価した.発揮筋力のCVは,2.5%MVC試行時の値の方が10%MVC試行時の値よりも有意に高く,いずれの強度でも高齢者の方が高い値であった.ただし発揮筋力のCVには,利き手,非利き手の違いは影響しなかった.
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