2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの身体運動時の自発性瞬目と視覚情報処理機能との関連
Project/Area Number |
13780011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北城 圭一 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (70302601)
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Keywords | 自発性瞬目 / 認知過程 / 瞬目生起確率 / 視覚的注意 |
Research Abstract |
自発性瞬目の制御中枢や発生機序、及びその機能的意義についてはいまだに不明な点が多い。これに関して、近年、自発性瞬目と認知過程との関連が示唆されている。例えば、視覚的な情報処理課題を行わせたときに情報処理の終了に同期して瞬目が出現することが知られており、ヒトの情報処理過程と瞬目活動との間に一定の関係があるとの仮説もある。筆者らは瞬目のタイミングと認知過程の時間的なダイナミクスの関連について注目し、瞬目を計測、定量化するために小型瞬目計測システムを作成した。 平成14年度は平成13年度に引き続いて、瞬目のタイミングを計測可能な小型アンプを作成、DATレコーダを組み合わせることによって、携帯型の小型瞬目計測システムを構成し、計測、解析、システムの改良を行った。この計測システムの原理は具体的には以下のようなものである。瞬目時には瞼が眼球を覆うために、反射率が変化する。赤外線LEDとフォトトランジスタを用いて、反射率の変化を検知することによって瞬目のタイミングの計測が可能となる。赤外線LEDとフォトトランジスタは眼鏡にとりつけ、各個人で眼球、瞼への照射角度を微調整した。このシステムを用いて計測を行った結果、実験室環境では、比較的良好な瞬目信号を得ることができた。ただし、問題点としては特に外部環境等で周りの光量が大きく変化するとノイズが大きくなることが挙げられる。フィルター処理を事後的に行うことによってより明確な瞬目信号が得られることは明らかになっているが、さらなる改良方法について検討中である。 現在、視覚反応課題時の瞬目のタイミングについての計測、解析を行っている。これまでの結果、瞬目生起確率は視覚的注意のレベルに深く関連していることが示唆されている。具体的には、視覚的注意のレベルが高くなっているとき、すなわち、視覚情報処理機能が高まっている場合は瞬目生起確率が低く、低下しているときは瞬目生起確率が高いことが示唆されている。
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