2002 Fiscal Year Annual Research Report
腱組織の粘弾性に及ぼすさまざまな運動様式によるトレーニングの影響
Project/Area Number |
13780012
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 啓太郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70323459)
|
Keywords | 腱 / 超音波 / ヒト / 粘弾性 / トレーニング |
Research Abstract |
本年度は、ヒト生体の腱組織がMechanical stressとMetabolic stressのいずれの要因が関係しているのかについて検討した。9名の被検者に膝角度50°(完全伸展位を0°とする)と100°でのアイソメトリックトレーニングを実施させた(左右脚はランダムにふりわけた)。トレーニング内容は、70%MVCで15秒間を6セット、4回/週の頻度で12週間とした。身体外部から観察されるトレーニング量(関節トルク×収縮時間)は、左右脚で同一であった。しかし、関節角度によりモーメントアーム長(関節回転中心から力発揮方向までの距離)が異なるため、同じ関節トルクではあるが、100°(大腿四頭筋の筋長が長い)での筋張力が50°(大腿四頭筋の筋長が短い)よりも大きくなる。つまり、100°トレーニング脚の方が50°トレーニング脚よりもMechanical stressが大きいと考えられる。12週間のトレーニングの結果、筋体積の増加率はどちらのトレーニング脚ともに11%前後の増加がみられたものの、両トレーニング脚間に有意な差は認められなかった。しかし、腱組織のステイッフネスは、100°トレーニング脚では有意に増加したものの、50°トレーニング脚では有意な変化は認められなかった。同様に、腱組織の最大伸張量についても、100°トレーニング脚では有意に減少したが、50°トレーニング脚では変化がみられなかった。つまり、Mechanical stressの高かった100°トレーニング脚についてのみ腱組織の特性が変化を示した。本研究の結果、筋肥大にはMechanical stressとMetabolic stressの両方が関与しているが、腱組織には前者のみが関与している可能性が示唆された。この点に関しては、血流制限下でのトレーニング実験を実施し、さらに詳細に検討を加える予定である。さらに、より実際に行われているトレーニング様式に近いバリステイック運動(プライオメトリックス)などについて、急性及び慢性の影響を検討する予定である(急性の変化については実験が終了し、現在はデータ分析中)。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Keitaro Kubo: "Gender differences in the viscoelastic poperties of tendon structures"European Journal of Applied Physiology. 88. 520-526 (2003)
-
[Publications] Keitaro Kubo: "Muscle architectural characteristics in women aged 20-79 years"Medicine Science in Sports Exercise. 35. 39-44 (2003)
-
[Publications] Keitaro Kubo: "Effects of Transient muscle contractions and stretching on the tendon structures in vivo"Acta Physiologica Scandinavica. 174. 1-8 (2002)
-
[Publications] Keitaro Kubo: "Measurement of viscoelastic properties of tendon structures in vivo"Scandinavica Journal of Medicine Science in Sports. 12. 3-8 (2002)
-
[Publications] Keitaro Kubo: "Effect of resistance and stretching training programs on viscoelastic properties of tendon structures in vivo"Journal of Physiology. 219. 219-226 (2002)
-
[Publications] Keitaro Kubo: "Effect of stretching training on the viscoelastic properties of human tendon structures in vivo"Journal of Applied Physiology. 92. 595-601 (2002)