2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 和俊 東京大学, 総合文化研究科, 助手 (30302813)
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Keywords | 動作分析 / 投げ動作 / リーチング / 強調的変動 / 巧みさ |
Research Abstract |
本研究は,的当て,リーチング等巧みさを必要とする動作の強調的な変動について検討することを目的とした2年計画の研究である。初年度である本年度は,正確さを目的とした投げ動作およびリーチング動作における動作軌跡およびトルクの変動について検討した。 はじめに,投げ動作に関する研究においては,被験者は約4m離れた的に向かって3種類の主観的速度(はやい,ふつう,ゆっくり)で,できるだけ正確にボールを投げた。このとき高速度カメラおよび今回の研究費で購入したキャリブレーションフレームを用いて動作を計測し,パーソナルコンピューターを用いて分析を行った結果,以下の知見が得られた。すなわち,1)リリース時の変数間に協調関係が存在すること,2)手関節の筋トルクが相互作用トルクと拮抗関係にあること,3)肘関節の筋トルクが相互作用トルクと協調関係にあることが明らかになった。これらのことは,投げ動作が筋活動そのものによって生じる動作だけでなく,動きによって結果的に生じる力との拮抗・協調関係を用いて運動のはやさおよび正確さを達成していることを意味する。 さらに,運動学的変数の強調的変動を定量化する指標であるIC(Index of Coordination ; Kudoら,2000)の,他の動作に対する応用可能性を検討するため,リーリング動作時のIC値を動作時刻の関数として算出した。その結果,1)リーチング動作の分析においてもICを指標とした協調関係の定量化が可能であること,および2)動作開始約100ms前後においてIC値が最大になることが明らかになった。このことは,動作開始から約100ms間で生じた動作軌跡の変動がその後修正されて最終位置の正確さを高めていることを意味する。
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