2001 Fiscal Year Annual Research Report
随意運動時の課題遂行戦略が自律神経活動に及ぼす影響
Project/Area Number |
13780017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
下田 政博 東京農工大学, 農学部, 助教授 (80302909)
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Keywords | 自律神経 / 事象関連電位 / 脳内情報処理 / 随意運動 / Sympathetic Skin Response / P300 |
Research Abstract |
日常の運動・スポーツ場面では、動作実行と中止、速さや正確性の要求など動作の遂行条件が様々に変化する。これに対応するための動作遂行戦略は、脳内で異なる情報処理を生みだし、結果的に反応の遅延などパフォーマンスの変化を引き起こす。そのような脳内情報処理に対応して動作時の生体恒常性を維持する自律神経系の活動が変容し得るかどうかは不明である。本研究では、動作実行・中止に伴う脳内情報処理過程が、生体恒常性を維持する自律神経系の動態にどのような影響を及ぼすかを検討した。 実験では、発揮筋力の大小(最大筋収縮の20%と40%)をあらかじめ指定した条件下で、予告刺激(S1)の3秒後に呈示される反応刺激(S2)に対して反応動作を要求するS1-S2パラダイムを施行し、事象関連電位P300と交感神経皮膚反応を測定した。被験者(健常成人10名)は規定のS2(呈示確率50%)にのみ反応動作を遂行し、それ以外には反応動作を遂行しないことが要求された。 実験の結果、P300には、反応動作遂行時で潜時が短く頭頂部で振幅の大きい成分が、中止時には潜時が長く前頭-中心部で振幅が大きい成分が観察された。また交感神経皮膚反応は反応動作遂行時の方で反応が大きかった。これらは発揮筋力の大小に影響されなかった。 以上から、動作遂行時と中止時で自律神経活動の動態が異なることが示された。従って、自律神経活動は随意運動の遂行に関わる情報処理過程に強く影響されることが推察された。
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