2001 Fiscal Year Annual Research Report
中・高齢者の動脈コンプライアンス低下に対する筋力トレーニングの抑制効果
Project/Area Number |
13780041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
宮地 元彦 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教授 (60229870)
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Keywords | 筋力トレーニング / 循環器 / 動脈コンプライアンス / 加齢 / 心肥大 / 健康増進 / 運動プログラム |
Research Abstract |
加齢による動脈コンプライアンスの変化に筋力トレーニングが及ぼす影響を横断的手法により明らかにした。日米の広告応募に応じた筋力トレーニング経験のない青年および中高年被験者34名と、日米のウエイトリフティングおよびパワーリフティングクラブ所属の青年および中高齢メンバー28名に協力を依頼した。青年非鍛練者・中高年非鍛練者・青年鍛練者・中高年非鍛練者の4つの被験者群の、安静時の心拍数、血圧、血中生化学分析、超音波エコー法による左心室形態、左心室収縮性、頚動脈コンプライアンス、大腿動脈コンプライアンス、脈波速度による全身の動脈コンプライアンスを測定し、比較した。全ての被験者群において血圧は正常であった。中高齢者は青年よりも頸動脈コンプライアンスが有意に低かった。中高年鍛練者の頸動脈コンプライアンスは中高年非鍛練者と比較して有意に低い値を示した。青年では鍛練者群が非鍛練者群よりも低い傾向が見られたが、その差は有意ではなかった。左心室心筋重量ならびに肥大指数は青年、中高齢者ともに鍛練群の方が有意に大きい値を示した。頸動脈コンプライアンスと肥大指数との間には有意な負の相関関係が見られた。以上の結果は、1)筋力トレーニングが加齢による中心動脈コンプライアンスの低下を促進すること、2)この中心動脈コンプライアンスの低下は求心性左心室肥大の一要因であることを示唆している。これらの中高齢者に見られた筋力トレーニングの影響は、持久的トレーニングが中心動脈コンプライアンスを増加させるという好ましい効果とは対照的であった。したがって健康増進を目的とした筋力トレーニングの遂行のための適切なガイドライン策定のためには、更なる研究が必要であると考えられる。来年度はこの点をふまえて、縦断的な方法を用いて筋力トレーニングが中心動脈コンプライアンスに及ぼす影響を検討したい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Yamamoto et al.: "Effects of endurance training on resting and post-exercise cardiac autonomic control"Medicine and Science in Sports and Exercise. 33・9. 1496-1502 (2001)
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[Publications] M.Miyachi et al.: "Effects of one-legged endurance training on femoral arterial and venous size in boaltly humans"Journal of Applied Phydiology. 90・6. 2439-2444 (2001)
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[Publications] 宮地 元彦: "定期的な身体活動による血管形状の変化"体育の科学. 52・2. 127-133 (2002)
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[Publications] 山元 健太他: "持久的トレーニングに伴う安静時徐脈と自律神経調節との関係"体力科学. 50・5. 613-623 (2001)
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[Publications] 宮村実晴 他: "新運動生理学(下巻)"真興交易(株). 415 (2001)