2001 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚に障害を持つ学生に対する少人数制クラスの強みを活かした授業方法の開発
Project/Area Number |
13780107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tsukuba College of Technology |
Principal Investigator |
新井 達也 筑波技術短期大学, 聴覚部・一般教育等, 助手 (70331303)
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Keywords | 聴覚障害 / 少人数クラス / 習熟度別指導 / 数学演習ソフト / 動画ソフト / 正当化のパターン |
Research Abstract |
本研究においては,学習者の学習意欲や習熟度に応じた教材を提供することを目標に,下記の調査を行った. (1)演習問題の選択・配列に関する調査 一斉授業において演習問題に取り組む際に,ある特定の学習者に向けて個別に学習支援を行うと他の学習者への応対が希薄となりがちである.そのため,各学習者は一定の時間を自学自習することを余儀なくされる.その間,学習者が独力で効果的な学習を行うことができるようにするためには,演習問題の選定やそれらの配列が考察される必要がある.ここでは,学習者にとって飛躍を感じない問題群に取り組むことが学習者の自発性を脅かすことなく,スムーズに学習を進めることを可能にするであろう,という仮定のもとに演習問題間の類似性と難易度を調査した.いくつかの調査を通して,問題提供者が考える問題の類似性や難易度と学習者が考えるそれらとの間に大きなギャップがあることが示唆された.今後も調査を継続し,それらの認識のずれの所在とそれらが生じる原因を調べ,スモールステップで学習を進めていけるような教材を作成する際の参考にしたい. (2)動画ソフトを用いた調査 上記(1)は主に一斉授業の中における自学自習型の学習に関するものであった.しかし,一斉授業において学習が促進される機会は,他者との相互作用によるところが大きいとも考えられる.聴覚に障害を持つ学習者のクラスにおいては,全体が共通の認識を伴いながら授業を進めていくことが困難である.そこで,本研究においては,別途開発された動画教材を用いて情報の共有化に関する調査を実施した.文字や静止画だけでは伝達が難しい内容であっても動画教材を用いることによって瞬時に正確な情報を共有できる。また,画面上の図形を少しずつ動かして連続的な変化を観察できるため,学習者は動きのある図形のイメージを維持しやすくなった. (3)数学的概念の意味付けに関する調査 概念の意味付けにおける個人差をより明確に理解するために,インタビューを通して学習者の認識のあり方を調査した.インタビューにおいて,対象者は工夫を凝らしながら自分の言葉で数学の用語に関する説明を試みた.この調査を通して,学習者の各用語に対する説明の際の正当化においていくつかの典型的なパターンがあることが示唆された.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 新井達也, 米山文雄, 森本明: "動画教材の利用による数学的思考力育成の可能性について"第35回全日本聾教育研究大会研究集録. 133-134 (2001)
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[Publications] 米山文雄, 新井達也, 森本明: "聴覚障害学生における数学的概念への意味づけに関する考察"第43回ろう教育科学会資料集. 47-50 (2001)
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[Publications] 米山文雄, 新井達也: "聴覚障害児のコミュニケーション分析ツールの開発"筑波技術短期大学テクノレポート. Vol.8(2). 5-10 (2001)