2001 Fiscal Year Annual Research Report
美的感受性の発達的知見に基づく美術鑑賞教育ソフトウェアの開発
Project/Area Number |
13780135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
石崎 和宏 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (80250869)
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Keywords | 美的感受性 / 美術鑑賞 / ソフトウェア |
Research Abstract |
本研究は、美的感受性の発達に関する知見を援用して、美術鑑賞教育ソフトウェアを開発することを目的としている。本年度は、美術鑑賞教育ソフトウェアの開発における課題を整理し、ソフトウェアを具体的に試作してその可能性と改善点を考察した。 その結果、Parsonsの理論に関連して先行して試みている学習プログラム事例や、既存の美術鑑賞に関連するソフトウェアの分析では、Erickson(1999)のViewpoints : Exploring How You Understand Art"に焦点を当て、Parsonsの発達段階におけるトピックを鑑賞の視点として位置づけた特徴を分析した。また、美術鑑賞に関連したソフトウェアの検討から、特にデータベース型のソフトウェアにみられるような美術品に関する知識提供に強く傾斜するのではなく、いかに学習者が考え、解釈し、理解していくかという思考提示型でのソフトウェア開発の必要性を検討した。そのため、対話型のインターフェイスの可能性、アートゲームやクイズなどの遊び的要素からの可能性、操作上の工夫について課題を整理した。 さらに、本研究での思考提示型をめざしたソフトウェア開発の方向性をふまえ、具体的なソフトウェアの試作を試みた。試作ソフトウェアは、Director 8Jを使用して作成した。その基本的な骨子は、Parsonsが提示した発達理論に基づいてすでに開発した『美術鑑賞プロフィール』(AAP)の内容とし、思考提示や自己診断機能を盛り込んだ。さらに、Parsons本人からレビューを受け、課題探求型のプロセスを重視するために、Parsonsの提唱する「ビッグアイディア」や「本質的な問い」を絵画作品に関連して設定し、また、学習ルームやチャットルーム、またアートクイズやアートゲームコーナーなどを内容として含めた。現段階では、鑑賞行為の中で対話や思考がより効果的に促すようにするためにプログラム上の改善が必要であり、来年度への課題とした。
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