2001 Fiscal Year Annual Research Report
同一字体漢字における複数筆順の歴史的解釈に関する研究
Project/Area Number |
13780142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松本 仁志 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (40274039)
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Keywords | 筆順根拠 / 複数筆順 / 往来物 / 江戸期 |
Research Abstract |
同一字体における複数筆順の今日的状況から、「右左王上書必無方」を典型字種として第一段階調査字種に選定した。それらを、『往来物大系』(石川松太郎監修)から摘出し、筆順を読みとっている。正確な数値の確定は次年度となるが、現在のところ、次の点が明らかになってきている。 1.筆順種の出現傾向は江戸期を通して一貫しており、時期的差は認められない。 2.摘出した筆順種 (1)右2通り(2)左2通り(3)王2通り(4)上2通り(5)書2通り(6)必4通り(7)無2通り(8)方2通り 3.筆順種には出現率90パーセントを超える主流の筆順が存在する場合と、40パーセントから60パーセントの範囲で拮抗している場合とがある。 4.伝統的な行書体が主流であり、それが筆順の出現率に反映していること。 5.各往来物における整合性があり、書きやすさ(速さ)を優先した筆順傾向があること。 今後、他の字例も加えて、字義解釈的筆順根拠、字体解釈的筆順根拠、機能主義的筆順根拠の各視点からの検討が必要である。
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