2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
清水 紀宏 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (50284451)
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Keywords | 問題解決 / 方略的能力 / 数学的な考え方 |
Research Abstract |
本研究の目的は,「数学的問題解決における知識を活用する能力」を「方略的能力」と捉え,方略的能力の構造や方略的能力が問題解決に果たす役割を検討することである。研究代表者はこれまで「数学的に仕上げられた問題の解決」における方略的能力(以下,「狭義の方略的能力」と略記)について検討してきたが,本研究では,問題解決の対象となる問題を拡張し,「広義の方略的能力」について検討することがその特色である。 本年度は,「広義の方略的能力」を検討するための先行研究の資料の収集を行い,そうした資料に基づく研究の結果,質の異なる問題解決に応じた「広義の方略的能力」を同定するための視点を導出した。 具体的には,問題解決の対象となる問題の質やねらいに依存して,解決に必要な方略的能力が異なることに着目し,そうした問題解決の質などの相違を捉える視点として,(1)解決の対象となる問題や場面の抽象度,(2)問題設定の有無,(3)問題解決のねらいを導出した。こうした視点で対象となる問題解決を分類することで,質やねらいの異なる各々の問題解決において必要な方略的能力を同定することが可能となった。例えば,「現実世界の場面」を対象として(視点(1)),問題を「設定」し(視点(2)),数学の「有用性」の感得をねらいとする(視点(3))場合,問題設定の能力,抽象化,理想化,情意的な能力といった考え方や能力が必要となり,これらが「広義の方略的能力」を構成することとなる。こうした視点を採用することで,抽象化や理想化といった「狭義の方略的能力」では深く関わらなかった数学的な考え方などが「広義の方略的能力」の構成要素として位置づけられることが明らかになった。
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