2001 Fiscal Year Annual Research Report
空間時系列のスペクトル構造の統計的推測に関する研究
Project/Area Number |
13780170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柿沢 佳秀 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (30281778)
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Keywords | 正規定常過程 / スペクトル密度 / 大偏差理論 |
Research Abstract |
スペクトル密度に関する検定問題は複数存在する。例えば、下記のような問題に対してL1-norm、L2-norm、sup-normを使いノンパラメトリックカーネルスペクトル推定量を基礎とした検定統計量が提案された。 i.(正規)定常過程のスペクトルが与えられたスペクトルに等しいか?H:f=f0 ii.2つの(正規)定常過程のスペクトルの同等性検定H:f1=f2 iii.a個の(正規)定常過程のスペクトルの同等性検定H:f1=f2…=fa 古典的には漸近分布を求め、あるものは漸近正規性から計算される局所対立仮説の下での検出力を比較可能であった。このような問題は空間時系列設定へも拡張可能であると期待されることから、今年度は主として通常の時系列解析では研究例の少ない大偏差定理に基づく漸近理論を上記3つの検定問題へ応用することに取り組んだ。 ノンパラメトリックカーネルスペクトル推定量がToeplitz行列型の2次形式になることから、本研究者の「2次形式統計量に関する大偏差定理」に関する研究成果へ帰着でき、2001年の夏、(I)(ii)の問題でsup-norm型検定統計量に関してテクニカルレポートへまとめた。2002年1月〜2月の再検討の際に、ここで扱うToeplitz行列は標本サイズに依存する関数から構成されているため従来の枠には入らない、との認識から昨年夏の結果を見直すとともに、(iii)の検定問題への拡張にも成功した。大偏差確率評価の数学基礎ができたことに伴い、いわゆるBahadur型漸近効率の話題がスペクトル検定問題に対し着手できるのだが、今年度考察したカーネル推定に基づく検定統計量では収束比が標本サイズの逆数ではなく、カーネル推定の宿命としてバンド幅にも依存する。なお、標本サイズの逆数を収束比とする(i)(ii)(iii)の検定統計量があれば望ましいとの知見からある別の検定統計量でも大偏差確率評価を試みた。
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