2001 Fiscal Year Annual Research Report
階層型クラスタシステム上の分散共有メモリシステムに関する最適化技術の研究
Project/Area Number |
13780245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南里 豪志 九州大学, 情報基盤センター, 助教授 (70284578)
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Keywords | 階層型クラスタシステム / 分散共有メモリ / 一貫性制御技術 |
Research Abstract |
本研究では,複数のクラスタシステムで構成される階層型クラスタシステム上に分散共有メモリシステムを実装し,その中で用いるキャッシュメモリシステムの一貫性維持技術について検討を行った.階層型クラスタシステム上の分散共有メモリの実装方法は以下のとおりである.まず各クラスタシステム内に高速ネットワークと専用通信ライブラリを用いて共有メモリを構築する.一方クラスタ間はゲートウェイプロセスと呼ばれる仲介プロセスを各クラスタに一つずつ起動し,クラスタ内の各プロセッサや他クラスタのゲートウェイプロセスからのメモリアクセス要求に応じて自動的に必要な通信を行う.こうして階層型クラスタシステム全体で一つの共有メモリイメージを提供できる. まず,既存の一貫性維持技術をそれぞれの階層に適用し,性能を解析したところ,一貫性維持のための通信によってプログラムの並列実行が阻害されていることが判明した.そこで,プログラムのソースコードをコンパイル時に解析し,必要最小限の通信で一貫性維持を行う,静的一貫性維持技術を提案した.これは,データの生成と参照の関係を解析し,その結果をもとにデータの流れを予測して,最適な制御コードをソースコードに挿入するものである.まず,この技術を8台のPC(Personal Computer)による1階層のクラスタシステムに構築した分散共有メモリ上のプログラムに適用したところ,1024x1024の行列のLU分解を行うプログラムにおいて4.09倍の並列効果が得られた.また,4台のPCで構成されるクラスタシステムを2つ接続した2階層のクラスタシステムで効果を測定したところ,2.8倍の並列効果が得られた. 本研究の成果のうち,1階層のクラスタシステムにおける成果を平成13年8月の国際会議で発表した.また,2階層のクラスタシステムにおける効果についても発表に向けて準備をすすめている.
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