2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
澤田 秀之 香川大学, 工学部, 助教授 (00308206)
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Keywords | 食道発声音声 / フィルタリング / 明瞭化 / 櫛型フィルタ / 母音・子音 / スペクトル / 脳性麻痺 / リアルタイム処理 |
Research Abstract |
喉頭摘出後に食道を使って発声をおこなう食道発声者の音声、および老化や脳性麻痺にともなう発声障碍者の音声を、発声原理に基づいて明瞭化するフィルタリングの実現が本研究の目的である。 本年度は、食道発声音声の明瞭化に関する研究をおこなった。喉頭摘出者の食道発声の習得には半年以上に渡る訓練が必要とされ、また呼気圧と呼気量の不足から、獲得される音声についても明瞭なものとは言い難い。喉頭発声音声との比較・分析から、雑音性が高い、基本周波数が低い、倍音構造が不明瞭、スペクトル包絡が平坦、発声が不安定であるといった特徴が見られ、これらをもとに発声原理に基づいたフィルタを構成した。ここでは、倍音処理に適している櫛形フィルタリングと雑音制御処理により、声質改善と明瞭化を試みた。 マイクからの入力音声に対してまず母音/子音の判別を行う。母音であれば基本周波数を抽出して実時間で櫛形フィルタを構成し、明瞭化フィルタリングを行う。一方、子音に対しては振幅の増幅を行い、出力音声を生成する。 本手法の有効性を調べるため、アンケートによる聴取実験を行った。フィルタリング前後の食道発声音声の対を合計12対作成し、ランダムな順でスピーカーから呈示した。成人健聴者に対し、11の評価項目について5段階評価でアンケートに答えてもらった。フィルタリングを行った食道発声音声は全体的に、澄んでいる、滑らかである、はっきりしている、という評価が得られ、また子音の立ち上がりの良さ、母音の明瞭度においても有効性が示された。これは、呼気の少ない食道発声音声において子音部分を増幅し、また母音部分においては櫛形フィルタリングによる雑音制御、ピーク部分の強調を行った効果が出ているためと考えられる。 今後は、基本周波数の高精度抽出と音声の自然性に関する検討を進めるとともに、脳性麻痺患者の音声のように発話器官の自律的制御に障碍を持つ音声の明瞭化について検討をおこなっていく。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 澤田秀之, 久田章弘: "櫛型フィルタによる食道発声音声の実時間明瞭化フィルタリング"電子情報通信学会 技術研究報告 福祉情報工学. WIT2001-49. 37-42 (2002)
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[Publications] 澤田秀之, 久田章弘: "食道発声音声の明瞭化フィルタ"計測自動制御学会 さぬき制御研究会 講演論文集. 9-14 (2002)
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[Publications] 澤田秀之, 東本敏男: "声道物理モデルによる音響生成"情報処理学会 インタラクション 2002論文集. 125-132 (2002)