2001 Fiscal Year Annual Research Report
典型性効果と意味プライミング効果を説明する意味記憶神経回路モデル
Project/Area Number |
13780304
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
平原 誠 法政大学, 工学部, 助手 (30328918)
|
Keywords | 典型性効果 / 概念階層 / 神経回路モデル / 連想記憶 / 階層的に相関を持つパターン / 想起確率 / 想起時間 / 典型性 |
Research Abstract |
認知心理学の分野における概念階層の内部構造に関する重要な知見に典型性効果がある.概念に属するインスタンスは「典型性」の順で順序付けられている,ということを典型性効果は述べている.この典型性は人間の心的振る舞いにおおきな影響を与えることが知られている.例えば,ある概念のインスタンスを全て列挙するように求められると,ヒトはインスタンスを典型性の高いものから順に想起することや,あるインスタンスがある概念に属するかどうかを尋ねられると,ヒトはそのインスタンスの典型性が高くなればなるほど短時間で判断できること,などが知られている.このような典型性効果を説明できるモデルに活性化拡散モデルなどが知られてはいるが,これらは「機能」レベルで記述されたモデルであり,神経科学的研究における作業仮説としてみなすためには不十分である. 本研究では典型性効果の「神経回路」レベルでの説明を目標とし,その第1ステップとして本年度は,次のような動作特性を持つ神経回路モデルを提案した: 1.入力パターンとして概念を入力すると,モデルはその概念の1インスタンスを想起する.どのインスタンスを想起するかは,入力概念に含まれるノイズに依存して決定される. 2.典型性の高いインスタンスほど高確率かつ短時間で想起される. このようなモデルの振る舞いは典型性効果に関するヒトの振る舞いと質的に一致しているように思われる.例えば,「果物」という概念の1インスタンスを想起するように求められると,われわれは一般に非典型と考えられる「イチジク」よりも典型と考えられる「オレンジ」の方を高確率かつ短時間で想起するだろう.
|
Research Products
(1 results)