2001 Fiscal Year Annual Research Report
胸部X線CT像による肺がん集団検診用診断支援システムの開発
Project/Area Number |
13780310
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 俊昭 仙台電波工業高等専門学校, 電子制御工学科, 助手 (90331967)
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Keywords | Active Cylinder Model / 肺野領域抽出 / 診断支援システム / X線CT像 |
Research Abstract |
肺がん検診用診断支援システムでは,胸部X線CT像から肺野領域を切り出す処理が重要な前提条件となっている。対象領域を絞り込むことによって,対象領域外のものを見間違う誤検出の防止と処理の高速化の効果がある。CT像では,肺野内はその濃度値が他の組織と比べてかなり低いことから,肺野領域抽出処理はしきい値処理を基本とする手法が用いられてきた。しかし,肺がん以外の肺疾患を含む大量の症例に適用したところ,十分な精度での抽出はできなかった。 研究代表者はこれまでに,モデルベースの肺野領域抽出手法の研究を行ってきた。その手法は,まず,典型的な1症例を用いて肺野の形状を手動で抽出した3次元肺野モデルを作成した。一方,入力した3次元胸部X線CT像からは,いくつかの基準点の座標を求めた。この基準点座標から回転・拡大縮小・平行移動させる変形係数を求め,肺野モデルに対して線形変換(アフィン変換)を行った。このようにして,肺野モデルを入力画像の肺野領域に近づけた肺野粗決定を得た。次に,この肺野粗決定領域の輪郭線を真の肺野領域の輪郭線に近づけるために,Active Cylinder Modelを用いた精密決定処理を行った。 上記手法では,左右の肺野領域と縦隔領域をひとまとめにした肺野領域を抽出していたため,左右の肺野領域と縦隔領域を分割し,縦隔側の肺野輪郭線を抽出する手法を新たに検討した。本手法では,左右の肺野と縦隔の内側に設定した3つの初期輪郭をActive Cylinder Modelを用いて膨らませ,それぞれの領域を抽出する。その際に,まず平滑化した画像を使って大まかに位置合わせを行う。その後,段階的に平滑化の度合いを弱め,徐々に細かい位置合わせを行う処理とした。段階的に抽出することにより,Active Cylinder Modelが誤った極小値に陥ることを防ぎ,肺野形状の個人差に対応できるようにしている。本手法を68症例に適用し,その有効性を確認した。
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