2001 Fiscal Year Annual Research Report
パフォーミング・アートにおける演技者の身振りによる情報伝達と同期に関する研究
Project/Area Number |
13780311
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
安藤 敏彦 仙台電波工業高等専門学校, 講師 (00212671)
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Keywords | パフォーミング・アート / 身振り / 情報伝達 / 同期 / テンポ / ジェスチャ / アフォーダンス |
Research Abstract |
今年度,数劇団の稽古やワークショップを訪問し,演技者同士のコミュニケーションについて観察した。 あるワークショツプで次のゲームを行った時,興味深い現象が観察された。演技者が2人組になり,互いに自分の右掌を相手の左掌に向かい合わせ,掌の間の間隔を一定に保たせながら自由に動くというものである。最初はどのペアも顔を手に向けて間隔が保たれているかを確かめながら動いており,動きがぎくしゃくとしていた。しかし,5分程度経過すると,あるペアでは顔は相手の正面に向け手には顔を振らすことがないにも関わらず,両者の動きが滑らかになり始めた。 動きが滑らかになったペアにインタビューすると,1)相手が次に何をするか分かった,2)相手の動きに合わせるのに必至でよく分からなかった,など様々な意見が返ってきた。 一方,台本を使った稽古の場合でも,同じ場面の立ち稽古を何回か繰返すと,ある回では演技者の動きに精妙な同期が現れてくる。しかし,その時の演技者は必ずしも周りの状況を意識的に把握しているわけではなかった。 これらを比較すると,台本を使った場合には台詞を話すことによって生まれる,ある決まったテンポやリズムが演技者の同期を助けているが,それと同様なことが,音楽的な要素を陽に使わない即興的なゲームでも現れ,各自の試行錯誤的な意思伝達の末に集団で同じテンポを共有し,それに合わせて動作を行うようになると考えられる。その同期については必ずしも演技者自身には意識されない場合が多いようであるが,今後,聴知覚および音楽的な要素も併せて検討する必要がある。 今後,引き続きフィールドワークを行うとともに,撮影したビデオを用いて演技者の動きの時間変化について測定を行い,それに基づきモデルを考案する予定である。
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