Research Abstract |
Xを非空な有限集合とし,τ:2^X→2^Xを閉包演算子とする.このとき,対(X,τ)を閉包空間と呼ぶ.τが交換公理を満足するときには,(X,τ)はマトロイドと呼ばれ,τが反交換公理を満足するときには,(X,τ)は凸幾何(アンチマトロイド)と呼ばれる.閉包空間(X,τ)の端点演算子ex:2^X→2^Xとは,ex(A)={pl p∈A,p〓τ(A-p)}(A⊆X)で定義される関数である. 閉包空間(X,τ)に対して,L_τ={AlA⊆X,τ(A)=A}と定義する.柏原・岡本(2000)は,(X,τ)が凸幾何であるときにf:L_τ→Rに対してある種の劣ジュラ性を仮定して不等式系x(ex(A))≦f(A)(A∈L_τ)で定義される多面体上での双対食欲算法の有効性を証明した.本研究の第二の目的は「双対貪欲算法が有効な多面体のクラスの拡張」であった.筆者は,柏原・岡本の結果を一般化する一つの方向として,必ずしも凸幾何とは限らない閉包空間(X,τ)に対して,x(ex(A))≦f(A)(A∈L_τ)で定義される多面体の上での双対食欲算法の有効性を考察すべきであると考え,その予備的研究として閉包空間の端点演算子の性質を調査した. その結果,[Ando(2001)]においては,閉包空間の端点演算子が凸幾何のそれであるためのいくつかの必要十分条件を導き,[Ando(2002)]では,閉包空間の端点演算子を特徴付ける公理系を得た.さらに,[Ando(2002)]においては,そこで得られた閉包空間の公理系に別の条件を付け加えることによって,マトロイドの公理系,及び,凸幾何の公理系を導き出した. これらの結果は,柏原・岡本の結果を閉包空間へと一般化する際において,重要な基礎を成すであろう.
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