2002 Fiscal Year Annual Research Report
化学イオン化質量分析計を用いた海洋大気中の次亜臭素酸濃度の測定
Project/Area Number |
13780414
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣川 淳 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(常勤形態) (20262115)
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Keywords | 大気成分分析 / 次亜臭素酸 / 化学イオン化 / 質量分析計 / イオン-分子反応 |
Research Abstract |
化学イオン化質量分析計を用いて、次亜臭素酸HOBrを高感度かつ選択的に検出、測定するための化学イオン化スキームとして、フッ素負イオンF^-及び塩素負イオンCl^-を試薬イオンとして用いたハロゲン負イオン付着反応の有用性を検討した。フッ素負イオン及び塩素負イオンはそれぞれ三フッ化窒素NF_3及び塩化メチルCH_3Clを試薬気体として用いるが、これらからの負イオン生成法として、コロナ放電イオン化及び放射線源を用いた低速電子付着イオン化の2つの手法を取り上げ、その有効性を実験的に調べた。フッ素負イオンの場合は、コロナ放電イオン化によりフッ素負イオンに加え、フッ化水素が生成し、これがフッ素負イオンに付着したクラスターイオンの生成が質量分析計により確認された。これはNF_3の放電により、フッ素負イオンと同時にフッ素原子が多量に生成し、これが周囲大気中に微量に存在する水蒸気から水素原子を引き抜くことにより、フッ化水素を生成しているものと考えられ、化学イオン化の試薬イオン生成法をしては不適当であると判断された。一方、放射線イオン源を用いた場合は、フッ化水素付着クラスターイオンの生成は見られず、フッ化物負イオンの質量ピークのみが観測された。また、塩素負イオンの場合は、コロナ放電イオン源、放射線イオン源ともに塩素負イオンとそれに水蒸気が付加したイオンが観測され、塩化水素の副生成は見られなかった。以上の実験結果より、化学イオン化の試薬イオンとしてフッ素負イオン、塩素負イオンを生成する場合、コロナ放電イオン源に比べ放射線イオン源の方が適していると結論付けることができた。
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