2001 Fiscal Year Annual Research Report
微生物還元性鉄・マンガンの化学的定量法の確立と環境動態解析への応用
Project/Area Number |
13780427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村瀬 潤 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (30285241)
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Keywords | 陸水 / 湛水土壌 / 鉄 / マンガン / 微生物 / EDTA / 琵琶湖 / 堆積物 |
Research Abstract |
湛水土壌や湖沼堆積物などの嫌気的環境では、鉄・マンガンが電子受容体として物質動態に重要な役割を果たしている。鉄・マンガンは様々な形態で存在しているが、実際に電子受容体として機能しているのは嫌気微生物代謝によって直接的・間接的に還元作用をうける画分、微生物還元性鉄・マンガンであると考えられる。本年度は、微生物還元性鉄・マンガンを同時に抽出できる化学的定量法を確立した。 水田土壌あるいは琵琶湖堆積物を嫌気条件で培養して生成した2価鉄およびマンガンを測定し、異なる還元剤および抽出剤の組み合わせで抽出した鉄・マンガン量との比較を行った。塩酸ヒドロキシルアミン-硝酸法、塩酸ヒドロキシルアミン-塩酸法ではマンガンは培養法にほぼ匹敵していたが、鉄は過少評価される傾向にあった。また、非晶質鉄・遊離酸化鉄が定量できるとされるシュウ酸Buffer法、ハイドロサルファイト-EDTA法では培養法で得られた鉄を上回ることが明らかとなった。また、これらの傾向は特に水田土壌で顕著であった。 ハイドロサルファイト-EDTA法について詳細に検討した結果、黒ボク土壌を除いた水田土壌や琵琶湖堆積物ではEDTAだけでも微生物還元性鉄・マンガンに近い量が抽出されることが明らかになった。抽出時間や抽出温度をさらに検討し、堆積物試料0.25gに対し0.04M EDTA100mlを加えて90℃で60min加熱抽出したときにマンガンでは培養法の93%、鉄ではほぼ100%抽出できることを明らかにした。培養法との組み合わせ実験により、本法で抽出された鉄・マンガンの大半が実際に微生物還元を受けることが示された。
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