2002 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸海域の生物的健康状態を診断するための評価指数の開発
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13780431
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Research Institution | National Institute for Rural Engineering |
Principal Investigator |
小出水 規行 独立行政法人農業工学研究所, 農村環境部, 主任研究官 (60301222)
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Keywords | 生物保全指数 / 魚類群集 / 環境影響評価 / 大阪湾 |
Research Abstract |
【目的】本課題では、河川における人為的環境改変の影響評価に利用されている生物保全指数(Index of Biotic Integrity)の沿岸海域版を開発することである。平成14年度は、開発した生物保全指数を利用して、関西国際空港島建設による魚類群集への影響評価を試みた。 【研究の方法】(1)解析データとして、空港島周辺の8定点において、(1)1987〜99年(12年間)の第1期工事、(2)2000〜02年の第2期工事に関連する石桁網による魚種別個体数を使用した。(2)IBIについては、大阪湾における底生魚類群集の構造特性(種多様性、再生産性、魚類生産性)を評価できるよう7項目を設定した。IBIの計算では、魚類データから求めた各項目の数値をスコアー5・3・1に換算し、全項目のスコアーの総和(35点満点)をIBIの得点とした(得点が大きいほど、空港周辺海域は魚類生息場としての機能が総合的に高いことを意味する)。 【主要な結論】(1)データの経年変動を調べた結果、調査期間を通じて、総種数は30〜40種の範囲で横ばいに推移し、総個体数は900〜300個体へと減少傾向にあった。魚種別にみた変動は、アカシタビラメ等の減少型、ハタタテヌメリ等の増加型、スジハゼ等の減少・増加型などに類型化された。空港島周辺海域における魚類群集特性として、種数変化は少ないが、群集の構成種が入れ替わる現象を捉えることができた。(2)試算したIBIの経年変動をみると、IBIは第1期工事(護岸、埋立、施設、運用期の順)において、埋立〜施設期に減少し、運用期〜第2期工事にかけては増加する傾向が見られる。IBIの変動について考察すると、埋立〜施設期の減少は、埋立による底質や地形等の変化により、魚類の生息を制約するような影響が及んだものと推察される。また、運用期〜第2期工事にかけての増加は、第1期工事が終了し、環境が安定したことによる魚類群集の再生過程を示唆していると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 安田陽一, 大津岩夫, 小出水規行: "既設の固定堰に設置する透過型簡易魚道の提案"河川技術に関する論文集. 8巻. 349-354 (2002)
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[Publications] Yasuda, Y., I.Ohtsu, N.Koizumi, A.Junaidi: "Installation Test of Ladder-type Fishway at Diversion Weirs in Japan and Indonesia"Proceedings of 13th Congress of the Asia and Pacific Division of the International Association for Hydraulic Engineering and Research. 947-950 (2002)
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[Publications] 小出水規行, 他9名: "関西国際空港建設に伴う底生魚類群集への影響評価の試み:IBI手法による環境監視データの解析"海岸工学論文集. 50巻(印刷中). (2003)
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[Publications] 他6名, 小出水規行, 他3名: "大阪湾におけるマアナゴの分布移動特性と生息地適正評価モデル"海岸工学論文集. 50巻(印刷中). (2003)