2001 Fiscal Year Annual Research Report
ハイドロタルサイト焼成酸化物を用いた強酸性排水の処理
Project/Area Number |
13780445
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 美穂 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10292236)
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Keywords | ハイドロタルサイト / マグネシウム-アルミニウム酸化物 / インターカレーション / 無機酸 / 酸性排水 / 吸着 |
Research Abstract |
現在の廃酸の一般的な処理法である中和法は新たに排水を生み出すことや、アニオンの回収、再利用が不可能であるなど問題が多い。一方、粘度鉱物であるハイドロタルサイトを仮焼して得られるMg-Al酸化物による各種アニオンのインターカレーションが数多く研究されているが、どの研究においても溶液のpHは中性付近であったため、酸性溶液におけるMg-Al酸化物の挙動は報告されていなかった。研究代表者らのグループはMg-Al酸化物を用いて、酸性溶液中での塩化物イオンを99%除去することに成功した。そして、Mg-Al酸化物が、酸の中和及び塩化物イオンの固定という新しい概念に基づく、塩酸廃水の処理剤として有効であることを明らかにした。そこで、塩酸の他の種々の希薄鉱酸へのMg-Al酸化物の応用を考慮して、Mg-Al酸化物により硫酸、硝酸、リン酸、塩酸を処理し、各種アニオンの除去挙動を比較検討した。 ハイドロタルサイトは共沈法により合成し、これを500℃で1時間仮焼し、Mg-Al酸化物を合成した。初期溶液量を調整し、Mg/Alモル比がほぼ、2,3,4のものを合成した。所定のMg-Al酸化物をいれたネジロ試験管に0.05-1mol/lの酸水溶液10mlを加え、恒温槽中20℃で0-24時間振とうし、反応後の濾液中のアニオン濃度変化を測定した。 その結果、アニオン除去率は初期アニオン量に対する添加Mg-Al酸化物モル比の増加とともに増加した。初期酸濃度に対して理論反応量のMg-Al酸化物を添加した場合にリン酸水素イオン、理論反応量の1.75倍以上で硫酸イオン、理論反応量の2.5倍で塩化物イオン、硝酸イオンを95%以上除去できた。また、リン酸は溶液のpHが低い反応初期に1価のイオンとしてもインターカレートされる。また、除去率は時間とともに増加し、24時間で全てのア_オンを80%以上除去できる。また、除去速度はリン酸、硫酸、塩酸、硝酸の順に速くなった。酸初期濃度が高いほどアニオン除去率は高く、1規定で90%以上除去できた。2種類の酸の混合溶液におけるアニオンの選択性は除去速度と一致し、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸の順であった。
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[Publications] T.Kameda, T.Yoshioka, M.Uchida, T.Miyano, A.Okuwaki: "New Treatment Method for Dilute-Hydrochloric Acid Using Magnesium-Aluminum Oxide"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 75(in press). (2002)