2001 Fiscal Year Annual Research Report
生合成推定経路を基盤としたトランス縮環型ポリエーテル骨格の構築
Project/Area Number |
13780463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
常盤野 哲生 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50312343)
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Keywords | トランス縮環型ポリエーテル / 生合成推定経路 / ポリエポキシド / キレーションコントロール / ランタノイドトリフラート |
Research Abstract |
シガトキシン類に代表される海洋産天然毒はシガテラなどの食中毒原因物質である。毒性発現機構の解明及びその治療法の開発のために量的供給が不可欠であるが、それを目的とした合成研究のターゲットとして注目されている。多くの合成研究においてはターゲットが多環状巨大分子であるために多段階合成を余儀なくされている。一方、そのトランス縮環型ポリエーテル構造に着目した生合成仮説が提唱されており、これはポリエポキシド前駆体の連続閉環反応により骨格形成がなされるというものである。これを基に、ポリエポキシドを経由した効率的縮環型ポリエーテルの構築を目的として本研究を展開している。 縮環構造を得るにはオキシラン環の開裂方向が問題となるが、エポキシド炭素上にメトキシメチル基を導入し、キレーションによる制御を計画した。まず、1,2-エポキシ-6-ヘキサノール化合物の反応では、ランタン及びホルミウムトリフラートをルイス酸として用いることにより、望むエンド閉環反応による7員環化合物が得られた。次に同じルイス酸を用いて、2環性の7員環エーテル骨格形成を7-エンド型反応を経由して構築することを計画した。2位と6位にメトキシメチル基を導入した1,2,5,6-ジエポキシ化合物の環化反応を行ったところ、5,6-エポキシドに対して1,2-エポキシドが求核攻撃して6-エキソ型で反応したと考えられる化合物を与えた。従って、5,6-エポキシドを求核体として働かせるためには、メトキシメチル基は一方のエポキシドにのみ導入することが必要であるとの示唆が得られた。以上を踏まえて、今後7-エンド型の反応を検討する予定である。
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