2001 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の糖鎖・翻訳後修飾解析支援のためのスペクトルデータベース構築
Project/Area Number |
13780480
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山垣 亮 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40313209)
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Keywords | 糖鎖 / 構造異性体 / 翻訳後修飾 / ESI-MS / CID-MS / MS / イオン強度 / 定量分析 / 質量分析 |
Research Abstract |
ヒト免疫グロブリンIgGに結合している糖タンパク質糖鎖の構造解析をエレクトロスプレー/飛行時間質量分析計にて行った。ピリジルアミノ化処理した糖鎖をCID-MS/MS解析したところ、還元末端側から生じるフラグメントイオンが良好に観測され、糖鎖の配列解析を行うことが可能であった。そこで配列の全く同じ糖鎖でありながら分岐構造の異なる構造異性体の区別を試みた。 N-結合型糖鎖は主にマンノース残基部分で分岐構造を持ち、al-3結合した分岐と、al-6結合した分岐とが存在する。これらの化合物の中、GlcNAc-Galのユニットが結合した構造異性体の区別を試みた所、両者のCID-MS/MSスペクトルには全く同じ数のフラグメントイオンが同じm/z値に観測され、従来の手法では区別することが不可能であったが、四重極/飛行時間質量分析計(Q-Tof)を用いることでフラグメントイオンのイオン強度を詳細に議論することが可能となり、特に分子イオンからGlcNAc-Galの2糖ユニットが外れたフラグメントイオンのイオン強度に明瞭な差が表れて構造異性体である両者の区別に成功した。これらの糖鎖はリウマチ疾患を持つ患者のIgG糖鎖で変化の表れる糖鎖であり、特に興味深い。 さらに両者の混合物系の試料について精密解析を行い、構造異性体糖鎖の定量的な解析について検討した結果、半定量的なレベルではあるが、解析を行うことが可能であった。HPLCなど用いず質量分析計のみで解析システムを組むことが可能であれば極めて微量な試料から解析が可能であり、今後あらたな糖鎖解析システムの開発に繋がるものと期待している。 MALDI-MS質量分析法を用いた解析を行い、糖鎖の基本的化合物であるマルトオリゴ糖についての解析を進めた。従来糖鎖の環構造は切断されずグリコシド結合が主に切断されるが、本研究によってMALDI-MSの負イオンモードではISD-フラグメンテーションが生じていることを明らかにした。今後これらの知見を糖鎖の構造解析に応用する。
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Research Products
(1 results)