2001 Fiscal Year Annual Research Report
分光学的手法を用いたヌクレオソーム高次構造変換過程の解析
Project/Area Number |
13780482
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
島原 秀登 北陸先端科学技術大学院大学, 新素材センター, 助手 (40313704)
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Keywords | ヌクレオソーム / ヒストン / CD / 組換え / HMG14 / 17 / アセチル化 |
Research Abstract |
染色体蛋白質HMG14、HMG17は146bpヌクレオソームに特異的に結合する核蛋白質である。これら二つの構造が類似する蛋白質はヌクレオソームにそれぞれ協同的に結合し、その結果、どちらか一方を二分子含む複合体を形成する。ヌクレオソームにHMG14/17が結合するとクロマチン超高次構造が解け、転写や複製等のDNA依存型活性が増強される。HMG14を用いた例でこの現象は、遺伝子発現を抑制するリンカーヒストンH1と、HMG14の競合的な相互作用によって引き起こされ、HMG14のC端とヒストンH3のN端の特異的な相互作用によって促進、その結果最終的にヌクレオソームにヒストンアセチル化酵素のような様々な調節因子がアクセスすると考えられている。最近では、HMG14/17自身のアセチル化によってヌクレオソームとの相互作用様式が変化すると報告されている。一方、HMG17-ヌクレオソームはクロマチンファイバー中で幾つかの集中点に寄り集まり、さらに核中全体で組織化される。高く転写が活性化された細胞の中で、HMG14/17の集中点の核内分布は転写部位の分布と等しい位置関係にあることがわかっている。ヌクレオソーム構造変化に対するヒストンとHMG14/17の翻訳御修飾の影響を研究するために、まず非修飾蛋白質によって構成されたヌクレオソーム、HMG-ヌクレオソーム複合体の特性を観察する必要がある。私たちは、大腸菌によって非修飾ヒストン、HMGを合成させ、TATAAACGCC繰返しヒストン高親和性配列DNAと、塩濃度を下げることにより、ヌクレオソームを再構成した。その結果、Native PAGEによって、この配列を有するヌクレオソームに特徴的なMNase処理による周期的な(10bp毎)の切断断片を観察し、化学的構造的に一系のヌクレオソームが再構成されていることを確認した。HMGとの相互作用による、ヒストンコアをとりまくDNAの構造変化を観察するためにCD測定を行った結果、HMG-ヌクレオソーム複合体形成時のDNAモル楕円率は、ヌクレオソームのものと比較して負の方向に変化した。この結果、HMG-ヌクレオソーム複合体形成時コアDNAの超らせん性は、解けるよりむしろ締まるということを示している。これらの結果は、日本生化学会(2001)、分子生物学会(2001)において発表した。
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